7月13日、政府は緊急事態宣言下に酒の提供停止に応じない飲食店と取引を停止するよう酒類販売事業者に要請していた件で、これを撤回することを明らかにしたが、事の発端となった西村康稔経済再生担当大臣には《辞任すべき!》との声が噴出している。
「西村大臣は8日、酒の提供をやめない飲食店に対して『酒の販売事業者に酒類の提供を行わないよう要請をおこない、要請、命令、過料の手続きを厳格に対応していく』ことを明らかにし、さらには『金融機関からも(酒の提供停止に)応じていただけるよう働きかけをおこなっていただく』などと圧力とも捉えられかねない発言をして問題視されていました。翌日には、金融機関への働きかけ発言を撤回、13日昼には『今回、私の発言で混乱を招き、また飲食店の皆様に不安を与えることになってしまいました』と謝罪したものの、酒類販売事業者に対して取引停止要請は撤回しない方針であることを改めて強調していたのです」(政治記者)
しかし一転、同日の夕方には、政府は酒類販売業者への要請を撤回する方針であることが明らかとなり、翌14日には菅首相が「多くの皆様方に大変ご迷惑をおかけしたことについて私からもお詫びを申し上げたい」と謝罪。一連の発言をした西村大臣については「感染防止のために朝から夜まで頭がいっぱいで、いろんな対策を練っている」と擁護した。
ただ、ネット上では西村大臣に対して《今回の西村発言は笑えるくらいヒドかった。辞任が筋だろう》《西村は自分が法律とでも思っているんじゃないか。あまりにも馬鹿げているし、大臣には不適当》《感染防止のために朝から晩まで頭がいっぱいというわりに、やることは飲食店イジメばかりだよな》《何を根拠にあの発言をしたのか疑問だし、いきあたりばったりでやっているのなら早くお辞めいただきたい》など、厳しい意見が収まらない状況だ。
「そもそも酒類販売事業者に取引を停止させる法的権限はありませんし、何より取引を停止させることは、飲食店だけではなく酒類販売事業者にもダメージを与えることを理解していなかった西村大臣に問題があったことは間違いないでしょう。ただ、13日の総務会で自民党の二階俊博幹事長が『誤解を受けることがないよう事前に党に説明し、発言は慎重にしてもらいたい』と今回の騒動はまるで西村大臣ひとりの責任であるような発言をしているものの、酒類販売事業者への要請は各省庁で事前に打ち合わせをした上で政府がおこなっているはずで、西村大臣だけが槍玉に挙げられるのは少々違う気もしますが…」(ITジャーナリスト)
14日の衆院内閣委員会の閉会中審査で西村大臣は「私の責務は感染拡大を抑えること、そして、その後の経済回復をしっかり行うこと」などと辞任を否定しているが、混乱を招いた代償は大きそうだ。
(小林洋三)