ロッテ・佐々木朗希に立ちはだかる「昭和イズム」

 令和の怪物・佐々木朗希投手が本当に克服しなければならないのは、「昭和イズム」のようだ。

 佐々木がプロ2勝目を目指し、先発マウンドに上がったのは、7月9日の日本ハム戦だった。プロ最速となる157キロを記録したが、5回4失点で黒星を喫してしまった。

「自己ワーストとなる被安打8、対する日本ハムのスタメンは平均年齢24.9歳と非常に若い打線となりました。佐々木は20歳、大学生と社会人2年目くらいの若手の対戦と言っていいでしょう。でも、その年齢差がそのまま試合に出てしまったような…」(球界関係者)

 当日のZOZOマリンは蒸し暑かったが、佐々木は初回から汗を拭うことが多かった。初回から走者を背負う場面が続き、苦しい展開となった。そして、未熟さを露呈してしまったのが、「セットポジション」での投球だ。

「クイックモーションがイマイチなんです。ボールを長く持ったり投球テンポを変えるなど、色々と工夫していましたが」(スポーツ紙記者)

「課題はセットポジション」というのは、オープン戦の段階から指摘されてきた。工夫はしているようだが、まだ克服できていないようだ。その理由というのが“昭和”なのだ。

「クイックモーションをやると、左バッターのインコースに投じる直球がシュート回転したり、球速が落ちるなどの弱点があります。そのために左肩の開きが早くならないように心掛けることまでは分かっているのですが…」(前出・球界関係者)
 
 その左肩の開きが早くならないようにするにはどうすればいいのか、投球モーションのどんなところに気をつけなればならないのか、そういう技術的なことがまだ身についていないのだ。

 佐々木の育成を任されている吉井理人投手コーチは「本人が気づくことが大切」とし、明確な答えは教えていない。先輩たちの投球や自身のVTRを見て学べ、というわけだ。昭和の指導法である。

 吉井コーチの指導は間違っていない。しかし、平成のゆとり世代に生まれ、何でもネットで検索できる令和時代に生きる佐々木にとっては、難しい課題となっている。

「いまや、見習い期間や修行、研修も時間の無駄といわれる時代ですから」(同前)

 時間をかけて習得した技術こそ、本当の力だ。試行錯誤を繰り返す佐々木に好感が持てる。令和の怪物がホンモノになるのは、“昭和のシゴキ”を乗り越えた、そのときだ。オジサン世代の生き方が間違っていなかったことも、証明してほしい。

(スポーツライター・飯山満)

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