アルフレッド・アドラーの「嫌われる勇気」(ダイヤモンド社)がロングセラーになるなど、ここ数年、心理学ブームが続いています。
ひとえに心理学といってもアプローチの方法はさまざま。どう生きるかという哲学的な内容のものから、人を洗脳するコツといった、おどろおどろしいテーマに応用されることもあります。
今回、紹介するのは「ビジネス心理検定」といって、その名のとおり、ビジネスシーンで使える心理学テクニックが学べる検定です。
それではさっそく例題を見てみましょう。
〈問1〉相手の言動やしぐさを真似ることで、相手に親近感や好感を抱かせるテクニックは、①イミテーション効果、②リゼンブル効果、③アシミレーション効果、④ミラーリング効果のうちどれ?
〈問2〉広告業界のコピーライティング用語で、顧客(読者)の心理的な壁を「3つのNOT」と表しますが、次のうち不適切なものはどれ? ①読まない、②覚えない、③信じない、④行動しない
実際の問題も、初級試験は四肢択一ですが、それ以上の級になると、記述式や面接試験も盛り込まれます。試験会場は東京、大阪、あるいはネットで受けることができます。さて、例題の答えは〈問1〉が④、〈問2〉が②となっています。
受験料は9800円(初級)~3万4800円(上級特別試験)とやや割高な印象を受けますが、交渉力に自信がない方は、取っておいて損はないかもしれません。
例えば‥‥、例えばの話ですよ。私が出版社の編集者さんに「資格の本の企画を考えたので、初版100万部刷ってください!」とお願いするとしますよね。当然、門前払いされると思いますが、その後、「10万部では?」「せめて1万部ならどうでしょう?」と提案すれば、「うーん‥‥それならいけるかも、OK!」となる可能性もあるわけです。
これは、最初にわざと過大な要求を突きつけて、断られたあとに本命となる小さな要望を受け入れてもらう「ドア・イン・ザ・フェイス」と呼ばれるテクニック。
続いては「松竹梅」の法則。もしもコンビニで1000円のお弁当が売られていたら買いますか? やはりためらいますよね。
でも、例えば出張先で駅弁を買おうとして、3000円(松)、1500円(竹)、600円(梅)という3種類のお弁当が並んでいたとしたら‥‥。多くの人は1500円の「竹」を選ぶと言われています。
セールスマンや販売員さんの営業トークに乗せられて、必要のないものを買わされた、なんてことはありませんか。そういう場面でも「あ、さっき松竹梅の法則を使ったな」と相手の手の内がわかれば、ムダな出費を抑えることもできます。
怪しい儲け話にダマされないためにも、取っておいて損はない資格と言えるでしょう。
(すずき・ひであき)