DFとしてはJ1最多となる通算75得点を記録。2010年南アフリカW杯ではベスト16進出にも貢献した元サッカー日本代表の田中マルクス闘莉王(40)。闘争心あふれるプレースタイルで多くのファンから愛されたが、19年に現役を引退した後は、母国ブラジルに帰国。現在は生まれ故郷のサンパウロ州の田舎町パルメイラ・ドエスチで牧場を営んでいる。
その様子は20年4月にスタートした自身のYouTubeチャンネル『闘莉王TV』で紹介しているが、ネット上の反応を見ると「悠々自適すぎる!」「絵に描いたようなリタイア生活」など、うらやむコメントが多い。
実際、サッカーについて真面目に語る動画とは別に、釣りやバーベキュー、乗馬などを楽しむ動画も数多く投稿され、サッカーにあまり興味のない人でも楽しめる内容になっている。
「彼は日本に帰化していますが日系ブラジル人。海外では引退後に母国で牧場や農場を経営しながらのんびり過ごすトップアスリートは珍しくありません。最近は日本でも田舎でのリタイア暮らしがブームとはいえ、それを実現できるのはごく一部の人たち。それをとんでもないスケールで行い、しかもいい意味でのユルさが画面から伝わってきます」
そう語るのは、現役時代に彼を取材したことのあるスポーツ紙記者。ちなみに闘莉王以外にも帰化した外国出身選手では、日本代表として19年ラグビーW杯ベスト8に貢献したトンプソンルークも引退後は母国ニュージーランドに戻り、牧場を経営している。
「国土の狭い日本では田舎でも土地代や設備投資に金がかかり、海外ほど気軽に牧場や農場経営ができない。そこは日本と海外のプロスポーツ選手の大きな違いかもしれませんね」(前出・記者)
引退会見では「たくさんビールを飲んで、たくさん肉を食って10キロくらい太ってみなさんに笑われる姿を見せたい」話し、その通りのセカンドライフを送る闘莉王。ファンやサッカー関係者からは指導者としてピッチに戻ってきてほしいとの声も多いが、故郷で両親や仲間たちとゆっくり過ごすほうが彼にとっては幸せなのかもしれない。