横浜スタジアムがざわついた!三浦監督が「番長の本領」を発揮

 三浦大輔監督が「鬼」になった。交流戦2戦目、今季最多の14失点で横浜DeNAベイスターズが両リーグ最速となる30敗目を喫した。前日は「1試合5本塁打」と打線が爆発し、快勝したのに、だ。

 その交流戦初戦に快勝した直後、複数のDeNA担当記者からこんな話も聞かれた。

「2019年、交流戦を10勝7敗1分けと勝ち越し、チームを勢いづけました。それが同年の2位躍進のきっかけになった」

 三浦監督は2戦目も必勝を期して、先発マウンドに大貫晋一投手を送り出したはず。その大貫が2回途中でノックアウトを食らったわけだが、同日の指揮官はこれまでと違った行動も見せている。三浦監督は大貫降板後の二死、凡フライを落球したセンターの桑原将志も懲罰交代させた。

「らしくないエラーですし、その次の打席を見て代えました」

 これまではどちらかというと、期待に応えられなかった選手には「見守る」の姿勢だった。ベンチ裏では叱っていたかもしれないが、「本人がいちばん分かっている」「早く立ち直ってくれれば」といった雰囲気だった。

 そんな優しさが最下位低迷の一因にもなってしまったが、同日の三浦監督は違っていた。

「ミスをしてしまったことに怒っていたのではないと思います。『その次の打席を見て代えた』と言っており、ミスを取り返そうとする姿勢が見られなかったから、厳しく対処したのだと思います」(スポーツ紙記者)

 大貫もその日のうちに二軍降格が通達された。同日の先発に至るまでの間、4試合続けて勝ち星を挙げていない。「不振脱出のための創意工夫がなかった」ということだろう。

「三浦監督は試合に負けても、取材拒否をしたことがありません。現役時代からそうでした。『負けたら取材拒否はおかしい。逃げない』との信念があるからです」(前出・同)

 指揮官は一喜一憂すべきではない。しかし、選手は違う。グラウンドに立ったときは闘争心をむき出しにしなければならない。前夜の快勝をチーム浮上のきっかけにできなかったこと、覇気のない雰囲気を変えるため、三浦監督は「行動」に出るタイミングを見計らっていたのかもしれない。

「ラミレス前監督が5年指揮を執りました。そのことを指して『三浦監督はその倍の10年、指揮を執る』なんて話がプロ野球解説者やOBのたちの間で交わされています」(球界関係者)

 今季から極端に守備位置を変えるシフトを取り入れたこともあった。データを重視したラミレス前監督は極端な守備シフトはやらなかった。データも見るが、選手のフィーリングを感じる三浦監督が守備シフトを実践したのは意外だったが、先の関係者によると、「チームの雰囲気を変える目的」のほうが強かったという。

 DeNAはむしろ好選手の多いチームだ。三浦監督は低迷するチームの雰囲気を変える難しさに直面していたようだ。

(スポーツライター・飯山満)

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