「いきなり!ステーキ」新業態が3カ月で閉店「からあげブームにのれず…」

 「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービスの新業態として注目を集めていたからあげ専門店「鶏からあげ・豚肉角煮 からあげくに」が4月末で閉店することが明らかになった。「閉店のお知らせ」と題した店頭の張り紙には、「多くのお客様に御来店頂き、深く御厚情を受け賜わりました事、心より御礼申し上げます」と感謝の意を表している。同店は今年1月21日にオープンしたばかりで、コロナ禍に合わせてテイクアウトやデリバリー形態に対応していた。

 コロナ禍で外食産業が不調な中、テイクアウト需要や鶏肉の相場が下がり、からあげが安く提供できるという背景から今や空前の“からあげブーム”となっており、外食チェーン各社が続々からあげ業界に参入している状況だが、同社はその恩恵を受けることは出来なかったようだ。
 
 注目が集まっていただけに、今回のいきなりの閉店にネット上では《唐揚げブーム真っ只中なのに閉店って余程売上振るわなかったのか…》《流行りに便乗したのに失敗したのか?》《やっぱり店名は『いきなり!からあげ』にしておけばよかったのに》と心配する声が多く見られるが、実際同店の評判はイマイチだったのだろうか。
 
「同店のからあげは下味がしっかり効いた濃いめの味付けで、付属のレモンをかけてさっぱり食べると美味しいと味は好評。グルメサイトなどでの評価も高めでした。一方で、利用者からは《テイクアウトの提供に20分以上かかった》《テイクアウト業態のオペレーションが不慣れな印象だった》《デリバリーは各社サイトからできるけど、テイクアウト予約が電話予約だけなのが残念。自社でネット予約のシステム作れないの?》とデリバリーやテイクアウト形態に対応と謳っていたにもかかわらず、うまく対応出来ていないと不満の声があがっていました。1個130円という価格も、利用者からは《味はいいけど高すぎ》と値段を見直してほしいという声も多かったですね。商品への自信があったのでしょうが、強気な価格設定があだとなってしまったようです。平時であれば美味しい唐揚げのために値段を気にせず買う層が一定数つかめていたでしょうが、“からあげブーム”で街中に専門店がありますから、競合店に後れを取ってしまった印象です」(経済誌ライター)

 同社はこのままからあげ部門を手放してしまうのだろうか…。味が評判だっただけに、体制を整えて再起を目指してもらいたい。

(浜野ふみ)

ビジネス