「アイドルの名曲」総選挙BEST30(4)松浦亜弥「桃色片想い」はソロアイドルの完成形

 ユリオカ超特Q氏はさらに、21位に天才アイドルのあややこと松浦亜弥の「桃色片想い」(02年)にも言及。

「あややを最後に、ソロアイドルという文化がなくなりましたね。そういう意味ではソロアイドルの完成形であり、最後の1人になったと思います。歌や踊りのパフォーマンス、衣装、MCのすべてが素晴らしく、亡くなった前田健やはるな愛さんのものまねで、さらに魅力が拡散されました」

 あややと同じハロプロ勢では、23位に老若男女を問わず列島を席巻したモーニング娘。の「LOVEマシーン」がランクイン。

「グループ・アイドルの歴史にとってモー娘の出現は、『明治維新』に相当すると思う。当時13歳の起爆剤・後藤真希を迎えて放ったミリオン・セラー。オランダが世界に誇るポップス・ヒット『ヴィーナス』の前奏を大々的に導入、目前には明るさあるのみ的な歌詞世界を、“ええじゃないか”的歌唱+コミカルなダンス+ディスコ・サウンドで綴りました」(音楽評論家・原田和典氏)

 1999年という世紀末にふさわしい「ごちゃまぜ」の一撃だったのだ。原田氏は続けて、26位の中山美穂が歌った「WAKUWAKUさせて」(86年)についても語った。

「ジャズやクラシック盤の音質に定評のあるキングレコードからのリリースということもあってか、彼女の作品はサウンドのメリハリが際立っていた。そして年齢に似合わず愁いの漂う歌声には、都会の夜が似合う。節(ふし)を投げ捨てるような歌唱と、鋭利なダンス・ビートが華麗に融合していました」

 最後に、80年代アイドルソングの屈指の名曲とされるのが、29位の荻野目洋子「六本木純情派」(86年)だ。作詞した売野雅勇氏が舞台裏を打ち明ける。

「洋楽カバーの『ダンシングヒーロー』でブレイクし、その次の『フラミンゴinパラダイス』で初めて書いてみた。そして代表曲の『六本木純情派』は曲が先にできていて、実はB面になるはずだった。でもマイナーな8ビートで、A面の候補だった曲より絶対にこっちのほうがいい。そう断言して引っくり返しました。次に詞をどうするか。荻野目ちゃんの事務所社長が『今、打ち合わせしている六本木を』と言い、僕が『純情』という言葉がひらめき、それにディレクターが『~派』と主張した。だからタイトルは3人の合作です。それが決まったら一気に詞が書けましたね」

 黄金期の貴重な1コマだ。

■アイドル名曲30

1位・斉藤由貴「卒業」(85年)

2位・松田聖子「赤いスイートピー」(82年)

3位・松本伊代「センチメンタル・ジャーニー」(81年)

4位・森高千里「私がオバさんになっても」(92年)

5位・中森明菜「スローモーション」(82年)

6位・ももいろクローバーZ「行くぜっ!怪盗少女」(10年)

7位・石川ひとみ「まちぶせ」(81年)

8位・浅香唯「セシル」(88年)

9位・広末涼子「MajiでKoiする5秒前」(97年)

10位・柏原芳恵「春なのに」(83年)

11位・Wink「愛が止まらない」(88年)

12位・河合奈保子「けんかをやめて」(82年)

13位・小泉今日子「木枯らしに抱かれて」(86年)

14位・薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」(81年)

15位・南野陽子「話しかけたかった」(87年)

16位・高橋由美子「友達でいいから」(94年)

17位・おニャン子クラブ「じゃあね」(86年)

18位・岩崎良美「タッチ」(85年)

19位・AKB48「恋するフォーチュンクッキー」(13年)

20位・堀ちえみ「リ・ボ・ン」(85年)

21位・SPEED「WhiteLove」(97年)

22位・松浦亜弥「桃色片想い」(02年)

23位・モーニング娘。「LOVEマシーン」(99年)

24位・岡田有希子「くちびるNetWork」(86年)

25位・欅坂46「不協和音」(17年)

26位・中山美穂「WAKUWAKUさせて」(86年)

27位・工藤静香「黄砂に吹かれて」(89年)

28位・観月ありさ「伝説の少女」(91年)

29位・荻野目洋子「六本木純情派」

30位・宮沢りえ「ドリームラッシュ」(89年)

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