“まん防”どこ吹く風!「路上飲み」で急性アル中増加の実態

「どこも時短営業ですからね。どこかで飲み直そうと思っても、深夜まで営業している店はみんな長蛇の列。結局コンビニで酒とつまみを買って2次会をやるしかない…。いけないとは思いますが、唯一の楽しみですからね、なかなかやめられませんよ」

 そうバツが悪そうに語るのは、JR山手線某駅近くの公園で仲間と酒盛りしていた30代男性だ。「まん延防止等重点措置」適用で飲食店の時短営業が実施される中、前出の男性同様、駅前や公園などの屋外で飲酒する人たちが急増している。

 全国紙社会部記者が語る。

「特に新入生や新入社員の歓迎会が行われるこの時期。暖かくなってきたこともあり、居酒屋がダメなら外で、とばかりに花見気分を楽しむ人が多くなっているのは事実でしょう。最初は注意していても酒が入った開放感もあり、途中からマスクせずの飲食になり、最後は地べたに座り込んで宴会となるパターンも多い。実際、東京や京都など3都府県に『まん防』が適用されて初の金曜日となった16日夜など、新橋駅周辺には100人を優に超える『地べた宴会』客が集まりましたからね。これでは、なんのための『まん延防止措置』なのか、さっぱりわかりませんよ」

 東京都では18日、9人でバーベキューをしたあと、感染者が出たというケースも報告されているが、実は路上飲みにより新型コロナウイルスの感染以外の弊害も出始めているという。

「路上飲みしている人たちは、居酒屋などで既に酒を飲んいるケースがほとんど。飲み足りないから、もう一杯となっているわけですね。つまり、ベースが出来ているのでどうしても飲み方が早くなり、そのぶん量も多くなる。そうなれば、当然、酔いも早くなるというわけです。しかも、寒ければ『もうそろそろお開きに』となりますが、夜でも温かく、『閉店です!』と追い出されることもないため、どうしても宴会が長くなってしまうんです。なかには少し寝かせておけば回復するだろうと、放置してしまうケースもあり、慌てて救急車を、というパターンも増えているといいます」(前出・記者)

 最近でこそ少なくなったものの、以前は大学生が部活やサークル、イベントの歓迎会などで泥酔し、死亡事故が続出したこともある。

「その多くが急性アルコール中毒で、意識がなくなり、寝ていると思っていたら、既に死亡していたというものですが、死因の多くは、吐いたものがのどに詰まった窒息死。シラフなら相手の変化にも気付けるでしょうが、酔っているとどうしても危険信号を察知するのが遅くなる。つまり、路上飲みはコロナの感染だけでなく、急性アルコール中毒の危険もはらんでいるということです」(前出・記者)

 19日、大阪府の吉村洋文知事は国に対し「緊急事態宣言の要請」を決定。東京都もこれに続く構えだが、不要不急の外出を控えるよう要請される中、たまには外で飲みたい気持ちは誰にもあるはず。ただ、ストレス発散のつもりが、思わぬリスクを引き起こすこともあることは、胆に銘じるべきだ。

(灯倫太郎)

*写真はイメージです

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