中日・根尾昂内野手が4月7日のDeNA戦で、全得点に絡む活躍を見せた。プロ3年目、「ついに覚醒か!?」とファンも盛り上がっていたが、当の根尾は淡々としていた。しかし、そのクールさがさらなる飛躍を予感させた。
「打席に向かう際、野球ゲーム・パワフルプロ野球の曲をかけてくれとリクエストしていました。大阪桐蔭時代から使用していて、プロ入り後も自身の応援歌にしていました。ただ、今までは好機にまわってくることがなかったので、曲ナシで打席に立つこともありました」(名古屋在住記者)
応援歌をリクエストできるようになったのは、打撃面に自信を持った証かもしれない。今春キャンプで臨時コーチを務めたOBの立浪義和氏に指導を仰いでいた。それが打撃開眼のきっかけとなったことは間違いないが、「打撃フォームを変えたわけではない」との証言も聞かれた。
根尾は教えられたことをそのまま模倣したわけではなかった。
「大阪桐蔭の先輩にあたる平田など、先輩たちも根尾にアドバイスを送り続けてきました。同じ内容をアドバイスしたとしても、教える人が違えば、言葉が違ってきます。立浪氏の教えに対してもそうでしたが、たとえば『始動を早く』のアドバイスをもらうと、以前に受けた、バットを構える位置の修正の話に結びつけるなど、自分なりに考えて消化しようとしていました」(球界関係者)
打撃フォームでは右足を上げる向きを少し変えたという情報もある。上げる向きを変えることによって、連動するバットの構えやスイング軌道なども合わせて考えていたようだ。こうした証言を聞くと、理論派の選手であることが伺える。
そんなインテリ選手が「ゲームの曲」にこだわるギャップも、地元ファンに愛される理由だろう。
「最初は平凡な三塁ゴロと思ったら悪送球、次の打席からは走者を置いた場面でまわってきました。『持っている選手』なのかもしれません」(前出・名古屋在住記者)
打順は、8番の下位。それでも得点好機での打席となった。正遊撃手の京田が打撃不振に喘いでいる。考えて打つ人・根尾がこのまま好調を持続できれば、内野の定位置争いの声も出てきそうだ。
(スポーツライター・飯山満)