北海道警元刑事がバラした「裏金口座とシャブ隠蔽」(1)シャブ中警官を軟禁して…

 現役時代は手段を選ばない捜査手法で100丁以上の拳銃を押収し、「銃器捜査のエース」と一目置かれていた北海道警の元悪徳刑事。自身が不祥事を起こして服役後、ヒット映画のモデルにもなったが、警察の組織ぐるみの「違法捜査」や「裏金口座」の全行状を大暴露した!

 警察官の不祥事が後を絶たない。

「長崎県警の女性警部が不倫相手の長崎新聞の男性記者に捜査情報を漏らして書類送検」(3月5日付)

「公務中に女性署員とスノーボードをしていた北秋田警察署の署長が事実上の更迭」(3月13日付)

「薬物違反の罪に問われた男性被告に対し、名古屋地裁が『警察官が秘密裏に被告の飲料にクスリを混入させた疑いが残る』として無罪を言い渡した」(3月19日付)

 3月だけでも警察の驚くべきニュースが報じられているが、内情を知ってしまえば、実は「あるある話」のようなのだ。

 2月に発売された「警察のウラ知識」(宝島社)で監修を務めた、元北海道警・警部の稲葉圭昭氏は、「警察は被疑者の逮捕を目的にしながらも、矛盾に満ちた組織だ」と告発する。

「自分が現役の時に、ある警察官が覚醒剤使用の疑いで捜査していた人物の尿を採取し、それに覚醒剤をそのまま入れて鑑定に出して逮捕に至ったことがありました。ただ、調べれば体内から排出された成分なのか、直接混入したものかわかるんです。その警察官は『あんにゃろう、頭にきたから入れてやった』と周囲に話していただけに、陥れようとしてやったとしか思えません」(稲葉氏、以下同)

 疑わしきは罰せずではなく、疑わしきは意地でも罰する─。誤った正義感を振りかざし、その上、警察官の好き嫌いの感情でハメられたら、どんな市民でも犯罪者にされてしまう。この一件は問題にすらならなかったという。

 警察はよく「身内に甘い」と批判を浴びるが、そんな声など聞こえていないようだ。国民の信頼よりも大事なのは警察のメンツ。保身のためなら、組織ぐるみの隠蔽もへっちゃらなのだ。

 時に部下の失態は上司の出世に響き、事と次第によってはトップまで引責辞任を迫られる事態に発展することもある。そのため失態を隠蔽するとなれば、一枚岩で徹底的に行われるのだ。

「以前に、北海道警のある警察官がシャブ中だったことが判明しました。それを大手新聞社がスクープで抜いたんです。すると道警はガードを固めて、マスコミには所在を確認していることにして、実際は家に警察官を張り込ませ、1週間くらい軟禁していました」

 薬物が体から抜けた頃合いを見計らって確保し、尿検査をしたところ、結果はシロだった。当然だろう。

「スクープ記事を出した大手新聞社にいちゃもんをつけるように抗議して、その記者はどこかに飛ばされてしまいました」

 驚くべきことに、シャブ中の警察官は特にお咎めもなく依願退職し、ほとぼりが冷めた頃に、民間会社へ天下りしたという。

*「週刊アサヒ芸能」4月8日号より

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