虚飾の「復興五輪」、福島・双葉町の聖火リレーは最短の480メートルだった

 3月25日よりスタートする聖火リレー。「復興五輪」を掲げる福島・楢葉町のJヴィレッジが出発点となる。

 スポーツ紙アマチュアスポーツ担当記者が説明する。

「初日は映画『フラガール』に出演した南海キャンディーズ・山崎静代(42)がその舞台となったいわき市を走り、2日目には朝ドラ『エール』に出演した菊池桃子(52)が福島市、バレーボール元日本代表の大林素子(53)が会津若松市を走るなど有名人ランナーが続々登場し、五輪ムードを盛り上げる予定です」

 聖火トーチは楢葉町から福島県内全26町村を通過し、ゴール地点の郡山まで、総距離約103キロを走破することになる。

 その中で物議を醸しているのが双葉町を走るコースだ。社会部キャップが語る。

「東日本震災後、双葉町はほぼ全域が帰宅困難区域に指定されました。JR双葉駅周辺の除染と道路の補修を急ピッチで行った結果、昨年3月にごく一部が解除となりました。線量は基準値を下回り、聖火リレーを行うことができるようになった」

 ルートはJR双葉駅を出発し、駅前をぐるっと周回するわずか480メートルという短距離。3人のランナーがリレーすることになるという。

「確かに、聖火リレーコースの線量を下げることはできましたが、一歩道を外れれば、基準値の10倍を超す危険な場所です。とはいえ、聖火ランナーが防護服などを着用して走れば、日本が原発事故をコントロールできていないことを世界に発信することになってしまう。そのため、聖火リレーの中でも最も短いコースを取らざるを得なかった」(前出・社会部キャップ)

 福島では聖火リレーだけでなく、五輪競技も開催される。

「種目は野球とソフトボール。当初は野球2試合だけ行われる予定だったが、県側の抗議によりソフトボールが6試合追加されることになった。なんでもソフトボールは試合時間が短いというのが、選ばれた理由だったとか」(前出・アマスポーツ担当記者)

 果たして、これが日本のおもてなしと言えるのだろうか。地元で除染作業を続ける作業員も呆れ口調で、その虚飾を指摘する。

「復興五輪なんて表向きだけの大ウソ、福島置き去り五輪だよ。聖火リレー? だいぶ良くなりましたとアピールしたいだけでしょ。今も除染が行えない危険区域には、汚染土を詰めたフレコンバッグが山積みで放置されている。当然、聖火リレーのコースからは見えない配慮がなされるんだろうね」

 東日本大震災の復興を旗印に招致した東京五輪だが、こんな不都合な真実は世界にお披露目できないということか。

※「週刊アサヒ芸能」3月18日号より

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