1月初旬、有名実業家が北海道でのバカンス中に投稿したツイッターをめぐり、ある騒動が起きている。スポーツ紙の芸能記者が語る。
「実業家男性が白銀のゲレンデから《ニセコ最高!》と、自撮り写真をアップしたのは1月4日のこと。ところが、この画像を目にした複数のユーザーが、彼の鼻からチョロッとはみ出した鼻毛を見つけて、《鼻毛出てます》《とりあえず手で鼻毛を抜いちゃいましょう》と指摘したんですね。これに対し、実業家男性は文章配信サイト『note』に『鼻毛警察』と題して《小学校のクラスでいつも人の粗探しをして喜んでいた男子などいたと思うのだが、それと同じような人たちが溢れている》と苦言を呈したことで、この『鼻毛警察』というワードが一気に広まり、SNS上でも鼻毛のケアについてあれこれと議論される事態となったのです」
たしかに、鼻毛は知らないうちに伸び、忘れた頃にひょっこり顔を出すため、その処理に手を焼いている人も多いはずだ。だが、たかが鼻毛と軽く見てはいけない。実は鼻毛は我々が生きていく上で大事な役目を担ってくれているのだ。医療ジャーナリストが語る。
「鼻毛には主に2つの役割があり、そのひとつが、ほこりや病原体などが体内に侵入するのを防ぎ、異物が気管支に入り込まないようにするフィルターとしての役割。そして2つ目は、鼻の穴の中の湿度や温度を一定に保ち、乾燥を防いで粘膜を保護するというもの。鼻毛を単なる体毛と勘違いしている人もいるようですが、とんでもない話です」
ちなみに、鼻毛の成長スピードは、体質や環境の状態によって差はあるもの、平均で1日0.15ミリ、1カ月で4ミリから5ミリも伸びるのだとか。他の体毛同様、男性ホルモンの影響を受けるため、女性に比べ男性の方が太く、長くなりやすいという。女性の鼻毛を目にする機会がほとんどないのもそのためだろう。
コロナ禍でマスク着用が日常となった。マスクが体内にウィルスなどの異物を入れないよう、フィルターの役割を担うことになれば、必然的に鼻毛の伸びが遅くなるのでは? そんな素人考えが浮かぶが、前出の「鼻毛警察」に関する議論では《そういえばマスクしてから鼻毛がよく伸びるようになった》《切っても切ってもすぐに生えてくる印象。これってマスクのせい?》などと鼻毛とマスクとの因果関係を指摘する声が相次いでいた。
「交通量の多い道路の近くに住んでいる、あるいは喫煙習慣があるような場合、鼻毛がフィルターとしての役割を果たそうとして、伸びるスピードを速めてしまうことがありますが、実はマスク内に留まる吐息にも胃から出るガスやエアゾルが含まれているため、それを脳が『体内に入れてはいけないもの』と判断してしまうんですね。その結果、鼻毛が伸びやすくなる可能性は十分に考えられます」(前出・ジャーナリスト)
ともあれ、人間の感覚器官はマスクの下でも“異物”を察知しては、鼻毛に「伸びろ」と指令を出しているということか。マスク着用習慣でおろそかになりがちだが、「鼻毛警察」による取り締まりから逃れるためにも、伸びるスピードには十分気をつけたいところだ。
(灯倫太郎)