1月6日にアメリカで起こったトランプ大統領支持者らによる連邦議会議事堂への乱入事件で、これを“扇動”したとしてお得意のツイッターのアカウントは永久停止に。その劇場型政治を演出してきたSNSから“締め出し”を食らったかと思えば、今度は大好きなゴルフからも締め出しを食らうことになった。
「全米プロゴルフ協会のPGAは、ニュージャージー州にあるトランプ所有のゴルフ場で行う予定だった来年22年の全米プロ選手権の開催の契約を解除すると発表しました。その理由についてPGA会長は、“有害性”を指摘したうえで『(大会運営などの)使命を果たしていく上でリスクになる』としています。意訳すれば、暴動の扇動者を利することはしたくないといったところでしょうか」(経済ジャーナリスト)
トランプは自分の会社であるトランプ・オーガナイゼーションを通じて不動産を主力にあらゆる事業に手を染めているが、アメリカの東海岸に7つ、その他スコットランド、アイルランドに15のゴルフコースを所有している。今回、契約を解除されたのは、ニュージャージー州のベドミンスターにある、その名も「トランプ・ナショナル・ゴルフ・クラブ」だ。
もはや支持者以外からはトランプは「いないことになっている」同然の扱いなのだが、ツイッター以外でも他のSNSからも締め出されている。
「永久停止になったツイッター以外でも、ユーチューブ、フェイスブックはトランプが『あなたたちを愛している。あなたたちは特別な存在だ』、『無事に家に帰ろう』と語りかけている動画を削除しました。また、フェイスブックとインスタグラムはトランプのアカウントを一時的に停止、CEOのザッカーバーグはその期間を『少なくとも2週間』と投稿しています。1月20日に新しい大統領が正式に就任するまでは凍結するという意味です」(経済ジャーナリスト)
ツイッターなどSNSで自由奔放な発言を繰り返して、その劇場型政治を演出する場として利用してきたSNSから締め出されるという結果になったのだから皮肉な話だが、自ら蒔いた種なのだから仕方がないだろう。
口を封じられて打つ手なしといった状況だが、身内からも強烈な批判が巻き起こっている。カリフォルニア州の知事も務めたシュワちゃんことアーノルド・シュワルツネッガーも同じ共和党にありながら、「全ては嘘から始まった。嘘に嘘が重ねられ、そして不寛容から始まった」とまでコメント。トランプのみならず、未だにトランプを支持する共和党議員らを非難した。
敵はさらに厳しい。バイデン陣営の民主党は11日にトランプを弾劾訴追する議案を連邦議会の下院に提出。13日に可決され、弾劾裁判での審理次第となるが、それにしても「クビ」になる理由が「反乱の扇動」というのだから呆れるしかない。
(猫間滋)
※文中敬称略