スマホのない時代に日本人を熱狂させた「平成の名機」たち

「アップル」が2007年にiPhoneを発表して以降、日本国内でも電車内や街中でスマートフォンを操作する光景が日常的になった。ショッピングから映画鑑賞に至るまで、様々なサービスがたった一つの端末で完結できてしまう世の中である。

 iPhoneを筆頭にスマートフォンの発明と爆発的な普及は革命的出来事だったが、それが世に出る以前、われわれの余暇を埋め、手持ち無沙汰を解消した“画期的アイテム”があったことも忘れてはならない。

 1996年に発売された「たまごっち」は若者を中心に爆発的な売れ行きを見せ、入手が困難になるほどの社会現象を巻き起こした。“たまごっち”と呼ばれるペットのキャラクターに餌を与えながら飼育し、フンの掃除なども行うという異色のミニゲーム機で、白黒液晶画面という簡素な作りではあるが、やり込み要素がふんだんに用意されており、人気絶頂期には発売元のバンダイに1日5000件もの問い合わせがあったという。

 同じくバンダイが1997年に発売した「ハイパーヨーヨー」は、通常のヨーヨーに特殊な性能やギミックが施された“進化系ヨーヨー”で、小中学生から高校生~大学生を虜にすると、初級から上級に至るまでの資格認定イベントやプロ大会も各地で開催され、ヨーヨーをメンテナンスするオイルやクリームといったケアアイテムも凄まじい売れ行きを記録。小売店やおもちゃ屋には購入ではなく予約をする為の長蛇の列が早朝から見受けられ、いかに入手困難だったかを物語っている。

 そして、2000年発売の「プレイステーション2」は、とある“画期的な機能”がヒマを持て余した20~30代男性のハートを射止め、大きな喝采を集めることに。なんとソニーはこの優秀なゲームハード機に当時普及が進んでいたDVDの再生機としての機能を付け、仮にゲーム機を利用せずとも、DVDプレイヤーとしての購入を推奨することができたのだ。“ゲーム機でDVDを再生する”という革新的な発想を実現させたこの「PS2」は、2019年現在においても“史上最も売れたゲーム機”という玉座を守っており、その販売台数は1億5500万台以上とされている。

「プレイステーション」シリーズは2014年に「PS4」が発売され、順調に売り上げを伸ばしているが、やはり“平成No.1の発明品”であるiPhoneの普及によって同端末がポータブルゲームプレイヤーとしての役割も担い始めると、徐々にスマホでしか楽しむことのできない無料のソーシャルゲームにユーザーが流れ、任天堂やソニーにとっては大いなる悩みのタネとなっている。

「令和」の時代にどのような流行・ブームが勃興するかは分からないが、しばらくはスマートフォンという“最強のおもちゃ”による治世が続くことになりそうだ。

(木村慎吾)

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