正月の恒例イベント「箱根駅伝」。2021年も精鋭20校と関東学生連合が初春の箱根路を駆け抜ける。連覇を狙う青学、19年覇者の東海大、前哨戦の伊勢路を6年ぶりに制した駒澤大、最強メンバーで臨む明大と混戦は必至。コロナ禍で沿道での声援が自粛となるだけに、テレビ観戦が10倍楽しめる「裏観戦ガイド」をお届けする。
ダークホースは東京国際大
21年も各校のエースが激突する「花の2区」。中でも注目は「破壊王」の異名を持つ東京国際大のイェゴン・ヴィンセント(2年)だ。
ルーキーイヤーの前回、3区で驚愕の1時間切りを達成し、往路3位に貢献した。大志田秀次監督は「今回は2区を走るかも」と含みを持たせているが…、
「本人は走る気満々です。となると、優勝を狙う4強がエースをぶつけてくるかどうか。前回は高速決着が予想される中、青学の原監督が1年生の岸本大紀を起用し、トップでタスキをつなぐ大健闘。『マジック起用』と称されたものです」(スポーツ紙記者)
はたして監督たちはどのような采配を振るうのか。難所の「権太坂」(9時45分頃通過予定)からラスト3キロが上り坂となる「戸塚の壁」の攻防は、目が離せない。
偵察メンバーが6人に拡大
コロナ禍ということもあり、今大会から当日変更可能な選手が従来の4人から6人に拡大された。
「12月29日に各区間と補欠6人が登録され、スタートの1時間10分前まで選手の変更が可能。エース級を補欠で登録し、他校の配置を見てから勝負区間へ投入するような戦術的な変更も認められています」(スポーツ紙記者)
前回の偵察メンバーは1校平均約3人だったが、今回は主力メンバー全てが補欠登録ということもありそうだ。
「東洋大が総合優勝を果たした14年大会では、エースの設楽啓太を補欠にして、当日の箱根の天候を現地で確認させてから5区の起用を決めた。悪天候の山登りをさせたくなかったのが理由です」(元東洋大監督・佐藤尚氏)
19年に5連覇を逃した原監督が「区間配置を間違えた」と振り返るほど重要な戦術ではあるが、外される選手も増えることになる。
「欠場が前提で登録される選手は『偵察メンバー』と呼ばれ、悲哀を味わうことになります。区間登録されれば両親や友人から祝福メールも届きますからね。多くの監督が『申し訳ない』と思いつつ、情報の口外を封じる。ただこれをバネにして、翌年、快走する選手も多いです」(スポーツライター)
4人から6人に拡大されたが、1日に変更できる選手は4人まで。そのため、往路は偵察要員だらけになりそうだ。
「往路は『2区』と『3区』にエース級をセットで組ませるケースが多い。前回の東京国際大がいい例です。今回は名門の早大(前回7位)が太田直希(3年)と、中谷雄飛(3年)を投入してきたら、他校にとっては脅威でしょう」(前出・佐藤氏)
監督同士の駆け引きにも注目が集まりそうだ。