「盗めるアート展」で持ち去った“盗品”を高額転売!見つけた作者の反応は…

 「盗めるアート展に出展していた私の作品がメルカリに出品されているよ、と友達から知らされて笑った。別に怒ってないけど絶対に誰も買わないしおもろいから作者本人として真剣に値下げ交渉しといた」

 6万件以上の「いいね」が押され、現在注目を集めているこのツイートはアートディレクター・平野正子氏の投稿だ。メルカリ上で作品につけられていた値段は送料込みで11万1111円。出品者は商品説明欄に「こちらは盗めるアート展で出た平野正子さんの作品になります。私の部屋が狭くあまりにもサイズが合わなかったので置き場もないので泣く泣く出品致します」と出品に至った経緯を綴り、「心無いコメント等は全て運営に報告し処罰を促します」と結んでいる。

 出品された作品は今年7月に行われた「盗めるアート展」に展示されていた作品のひとつで、作者である平野正子氏は、自身が送料を負担する形で実家に送ってほしいと“値下げ交渉”のコメントを投稿したことを明かしている。

 今年7月9日深夜の開催に至るまでにも物議を醸していた「盗めるアート展」とは、セキュリティを置かずに来場者が自由に作品を持ち帰ってよいというコンセプトで、新たなアートの楽しみ方を見出す実験的な催しであった。しかしメディアなどで情報が拡散されるにつれ「作品の持ち帰り可」という情報だけが独り歩きし、ギャラリーには文字通り作品を盗みに多くの来場者が殺到。深夜のオープンとともに、一瞬で全作品が持ち去られ、主催者が打ち出している本来のコンセプトとは少し乖離したものとなってしまった。

 この“盗品”のメルカリ出品に《いくら盗んでいい作品だからってそれを11万で転売するのはモラルがなさすぎる》《泣く泣く出品って書いてあるけど盗むときから転売目的だったのでは?》と、メルカリに出品した“泥棒”を非難するコメントが多い中で、《そういうコンセプトなのだから作者本人がツッコむのは野暮なのでは?》《作品に11万の価値がつけられ、盗品とわかりながら買う人が現れるかもしれない。こうして作品に箔がつくこともある》《転売されるまでがアート。こういったムーブメントを見ることが出来て『盗めるアート展』は成功したような気がする》など、転売を肯定する意見もあがり、論争は過熱している。

 こうしてひとつの作品から様々な意見が寄せられ、多くの人が美術作品の価値について考えるきっかけになったという点では、「盗めるアート展」を開催した意義はあったと言えるだろう。

 (浜野ふみ)

※写真はイメージです

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