トランプ大統領が金欠!? バイデンが“1分400万ドル”ブラピCMで示した資金格差

 あの不動産王のトランプもいよいよ金欠か。といっても個人の資産の話ではなく、選挙資金の話なのだが。

 アメリカ連邦選挙委員会によると、10月14日の時点でバイデン陣営の選挙資金額が1億6000万ドル以上あるのに対し、トランプ陣営の手元残高は4300万ドルで、約4分の1しかないという。支持率でバイデンに大きく離されているだけでなく、資金面でも大きく水をあけられているのだ。

「大統領選挙にあたっては、9月18日に死去したルース・ベイダー・ギンズバーグ最高裁判事の後任を選挙前に決めるか選挙後にするかが大きな争点の1つでした。もちろんトランプ大統領は選挙前に同じ保守派の後任を置きたかったわけですが、これが民主党支持者のリベラル層の対抗心に火をつけました。ギンズバーグ氏は女性や性的マイノリティの権利擁護を訴えるリベラル派の象徴的存在で、アメリカ人で知らない人はいないという有名人。『RBG』の愛称で呼ばれ、『ビリーブ 未来への逆転』という彼女の伝記映画は老若男女問わず人気があったくらいです」(政治ジャーナリスト)

 結果、18日の死去後の19日に集まった民主党への献金額は7060万ドル。1日当たりの献金額としては過去最高を記録した。第1回目の両者によるテレビ討論会で、トランプがルールを守らず何度もバイデンの発言に割り込んで司会者からたしなめられた姿の悪影響も大きいとアメリカメディアは分析している。

 過熱する一方の選挙戦は物量戦の様相を帯び始めた。両陣営はテレビ広告に15億ドル以上も投じた。だが、資金が枯渇しかけたトランプ陣営はテレビ広告を打ち切って、SNSなどのオンライン広告に切り替えざるを得なかった。

 一方でバイデンの豊富な資金は19日にアメフトの試合で打った広告でも裏付けられる。ブラピと、かのアメリカ映画の名作「明日に向かって撃て!」の出演で知られるサム・エリオットの両有名俳優をナレーションに使ったテレビ広告は、わずか1分間で400万ドルを投じたものだ。

「ただ、2016年の大統領選でもトランプはヒラリー・クリントンの資金には全く及ばないまま当選して、近年の大統領では最も選挙資金の少ない大統領とされています」(前出・政治ジャーナリスト)

 支持者の間で前回同様の大逆転が未だ信じられている所以でもある。

(猫間滋)

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