今年6月、ブランド総合研究所が行った「第2回地域版SDGs調査2020」によると、幸福度ランキング1位になったのは宮崎県。現在幸せかを問う質問で、「少し幸せ」と回答したのを含めると7割以上が幸せと答えたという。
ちなみに昨年行った第1回調査に続き、宮崎県は2年連続で幸福度1位という結果に。確かに、冬場でも比較的温暖で年間を通じて過ごしやすい。昭和30〜40年代には新婚旅行先として人気が高く、現在のハワイのような存在だった。さらに海や山の自然も豊かで、生産額ベースの食料自給率ではなんと全国1位だった(※2位鹿児島、3位青森、4位北海道)。
老後の移住先としては悪くなさそうだが、そんな宮崎県の幸福度1位とは矛盾しそうなデータも存在する。そのひとつが「ギャンブル好きが多い県」というものだ。
日本遊技関連事業協会がまとめた「遊技業界データブック2019」によると、18歳以上の人口100人に対してパチンコ・パチスロの台数が最も多いのが宮崎県の4.77台。これは全国平均の2.83台の約1.8倍に相当する数だ。
近年、全国的にパチンコホールは減少傾向にあり、地方では潰れて放置されたままの店舗を多く見かけるが、宮崎ではパチンコ・パチスロ人気はいまだ健在のようだ。宮崎在住の40代のパチンコ好き会社員は「田舎で娯楽も大してないし、物価も安いからそんなにお金もかからない。だから、パチンコ屋に通う人が多いのでは」と語っていたが、全員が節度を守って遊べるわけではない。
2017年のデータだが、日本銀行宮崎事務所・鹿児島支店が発表した「『金融リテラシー調査』から見た宮崎県の特徴と課題」によると、消費者ローンで「お金を借りすぎていると感じている人の割合」は全国2位、「消費者ローンを利用している人の割合」は同8位だった。
全員がギャンブル目的で借りているわけではないと思うが、パチンコ・パチスロの設置台数の多さとの関連性は十分ありそうだ。
ある意味、パチンコやパチスロ好きにとっても幸福度の高い県と言えるのかもしれない。しかし、勝負事に熱くなりやすい人が移住先の候補とするには割り引いて考えたほうがよさそうだ。
(トシタカマサ)