牛丼チェーン大手の吉野家ホールディングス(HD)が7月28日、新型コロナウイルスの影響による業績悪化を受け、今年度中にグループ店舗を最大150店を閉店させることを公表し、ネット上では驚きの声があがった。
「吉野家HDでは、21年2月期第1四半期決算短信により20年3月1日から5月31日までの純損益が約40億円の赤字となったことがわかっています。また、来年2月までの連結決算の純損益でも90億円の赤字になる見通しとのことで、同社の河村泰貴社長は『コロナの影響は相当長期に及ぶとみている』と新規出店も原則凍結する意向を明らかしたのです」(飲食業界専門紙記者)
業績の悪化を受けて吉野家HDは、国内外におよそ3300店あるグループ店のうち、「吉野家」が国内40店と海外50店、讃岐うどんの「はなまる」が国内外の30店、持ち帰り寿司の「京樽」が国内の30店を閉店させる予定だという。
「業績悪化は同社が説明するように新型コロナによる売上減によるものですが、特に多くの閉店を予定している『吉野家』は、リモートワークの普及によりメインターゲットとなるサラリーマンの利用が大きく減ったことが大きいと言えます。また、兼ねてよりテイクアウトを実施していたものの、好調の『マクドナルド』と比べ客単価が伸びていない。コロナ禍では牛丼はまだしも、そのほかの売上を支える定食類が、持ち帰る手間の点で支持されていなかったことも響いているのではないかと見られています」(経済評論家)
とはいえ、居酒屋「甘太郎」などを運営するコロワイドも196店を閉店させ、ファミレスの「ジョイフル」も200店程度を閉店させることを明らかにしており、厳しい状況にあるのは決して吉野家HDだけではない。今後も外食業界の「大量閉店」のニュースが相次ぎそうだ。
(小林洋三)