オンワード「ZOZO再出店」で蒸し返される創業者との“原価暴露”遺恨

「組曲」や「23区」などのブランドを持つアパレル大手のオンワードホールディングス(HD)は7月13日、8月下旬よりファッション通販サイト「ZOZO TOWN」に再出店することを明らかにした。同社は19年2月にZOZO TOWNから完全撤退し、”ZOZO離れの急先鋒”とも言われていたが、一体どんな心変わりがあったのだろうか。

「オンワードはZOZO TOWNに再出店するだけではなく、ZOZOと提携してオーダーメイドスーツの製造販売をスタートさせることも併せて発表しており、撤退前よりもさらに密接な関係になるとみられています。両社が協業することで、5年で100億の売り上げを目指すとのことです」(ファッションライター)

 同社がZOZOとの再タッグを決めたのは、やはり新型コロナウイルスの感染拡大が大きな理由のひとつだろう。7月10日に発表された決算短信によれば、20年3〜5月期の営業損益は約21億円、純損益は約24億円と大幅な赤字に転落しており、主要販路である百貨店の休業によって特別損失24億円を計上したことも大きく響いた。その一方で、ECの売上高は前年同期比50%増と大きく伸びていることから、さらにECでの売上を伸ばすためにもZOZO TOWNへの再出店を決めたとみられている。

「オンワードのZOZO TOWN電撃復帰には、創業者の前澤友作氏がZOZOの代表取締役を退任したことも関係があると思われます。前澤氏はZOZO社長時代にツイッターで『いまお店で約1万円くらいで売られている洋服の原価がだいたい2000〜3000円くらいだということを、皆さんはご存知ですか?』と投稿したり、有料会員への割引サービス『ZOZO ARIGATO』を出店者にきちんと説明しないままスタートさせたりと、ブランド側にとってはトラブルメーカーとして認知されるような存在でした。そんな前澤氏が離れたことも大きいのではないでしょうか」(経済ジャーナリスト)

 前澤氏のいなくなったZOZOとのタッグでオンワードは復活できるか。

(小林洋三)

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