「全選手PCR検査」Jリーグにできてプロ野球にできない台所事情

 6月19日のシーズン開幕に向けてさまざまな問題が浮き彫りになる中、6月4日の夜、再び球界に激震が走った。ヤクルトの主砲・村上宗隆(20)と投手のスアレス(30)が、発熱によりPCR検査を受けたというものだ。

「2人とも、微熱と喉の痛みという軽い症状でしたが、巨人の件があったばかりなので、すぐに検査を受けることになった。5日夜、ヤクルトは村上について『慢性へんとう炎による発熱』と発表、スアレスも6日午後に『急性咽頭炎』の診断を受けたことが発表され、現在は症状も治まっている状況とのことです」(スポーツ紙記者)

 巨人、ヤクルトと立て続けに起きた「コロナ騒動」で、まず最初に動きを見せたのは広島だった。開幕前に1、2軍の選手とスタッフ全員のPCR検査実施を検討しているというのだ。

「今回、広島が検査に積極的になったのは、選手たちの強い要望があったから。このように『全員、検査を受けるべき』という声は、他のチームからも聞こえてきます。中には『シーズン中に感染が勃発したらどうするんだ!』と球団スタッフに言い寄る選手もいるほど。ですが阪神やDeNAなど、球団によっては消極的なところもある。阪神は第二の藤浪を出したくないのと、DeNAは球団職員が少ないので開幕などの準備で精いっぱいといった感じです。本来であれば、プロ野球を統括するNPBが動いてくれればいいのですが」(球界関係者)

 7月4日に開幕するサッカーのJリーグは「PCR検査センター」を設置し、2週間に1度、全選手と関係者約2340人の検査を行うことを発表している。同じことが、プロ野球にはできないのだろうか。

「サッカーの場合、検査費用は全てJリーグが負担。DAZNなどの配信事業社から得られる放映権料が原資になるようです。一方、プロ野球の放送権料はNPBではなく、それぞれの球団に入る。今年はNPBの収入源の一つ、オールスターの開催が中止になりましたし、検査を主導するほどの資金力はない。なので、検査は各球団に委ねるしかないでしょうね」(スポーツ紙記者)

 感染再拡大の兆候を警告する「東京アラート」が6月2日夜に発動。特にセ・リーグの場合、開幕カードが東京ドーム、神宮球場、横浜スタジアムと関東に集中している。それだけに、選手や関係者たちの安全確保のうえで、ファンが待ち望んだ開幕を迎えてもらいたい。

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