「ちょっとコラ! わかってますよ。わかってるつもりかもしれないけど。完全にバカにしてるでしょ」
5月12日、TBS系朝の情報番組「グッとラック!」内で検察庁法改正問題を取り扱っているときにそれは起きた。リモート出演した上地雄輔が、国山ハセンアナの「何が問題か理解されていますか?」との呼びかけに応戦。冒頭のコメントはその際に発したものだ。
結果的にこのやり取りが絶妙なエッセンスを加えることになってしまうのだが、この問題に関する番組内での上地の発言は以下だ。
「もちろん勉強もしますし、わかっているつもりですけど、自分で誇りを持ってプライドを持ってやっている検察官の方が、偏った見方をされているかもしれないから、それもかわいそうかな」
「この時期じゃなくても改正されるわけですよね?」
「コロナの時期がいつまでか分からないから、今ではいけないのかなと思っちゃう。今やるべきことじゃないかもしれないが、今やるべきことかもしれない」
「今決められることは、何でもそうですが、逆にタイミングを逃すのは…」
「安倍さんが、黒川さんみたいな経験豊富でいろんなことをわかっているから、延長したほうがいいっていうタイミングが、来月なのか再来月なのか半年後なのかっていうのが。今じゃなきゃいけない部分もあるんじゃないですか?」
世間の多くが、総理は自身の疑惑粉飾に力を発揮する黒川弘務東京高検検事長を検事総長にするために無理に閣議決定をし、後付けの法改正で閣議決定を正当化しようとしているのでは? と勘ぐっているタイミングでこの発言は斜めから見なくとも総理のまわし者か? と取られても仕方ない。実際ツイッター上で拡散し続ける「#検察庁法案改正に抗議します」は多くの芸能人や識者を巻き込んでおり異端的な発言と言われても仕方ない。
しかし邪推を捨てて字面だけを読んでみると特に政治的イデオロギーはみじんも感じないとも言える。過去の上地発言から真意を読み解くならみなさんはどうお感じになるだろうか。
「泣けるなら、笑えるはずでしょ、ホトトギス」
「不安なら止めな。迷ったら動きな。悩んだら行きな」
「もしクヨクヨ悩むんなら胸張ってクヨクヨしてください。悩むのは明日を元気に生きるための会議です」
「反省します。でも後悔はしません、絶対に。意味ないから。前に進めないから」
「『頑張って』がほしいなら、まず頑張って! 頑張ってない人は心からの『頑張って』がもらえません!」
「良いことされたら100倍にして返せ! その代わり嫌なことされたら100分の1にして返せ」
「どんなに傷ついても、その後に人とか物を傷つけるより誰かの傷を癒やすほうが何倍も自分の傷が癒えると思うよ」
いかがだろうか。この人はとにかく前向きで政治的ノンポリなのではないだろうか。上地雄輔にとって世の中には悪人は存在せず、姑息な人間、卑怯な人間などいるわけないのだ。これはこれでとても羨ましいスキルと言えるが、要はムキになって諌めるような発言でもなかったということだろうか…。
5月11日には女優の東ちづるがツイッターでこのようなコメントを発した。
《私にも「ファンだったのに政治発言にガッカリ」「女優さんだから分かってないでしょうが」みたいなコメントが。芸能人は社会や時事に疎いという思い込み? そうあってほしい? 優位、上から目線でいたい? おバカでいてほしい? ということかあ。職業差別が根底にあったのかあー》
多くの芸能人が政治や新型コロナ関連の発言で“炎上”するという報道が相次ぐ昨今、言いたいことが言えるのは「バカの免罪符」を手にした上地くらいなのかもしれない。
(鷹太郎)