「今や懐かしいウォークマンが高値で取引されているんです」
と、興奮気味に伝えてきたのはヤフオクウォッチャー氏である。
音楽を携帯するという意味では、iPodを代表とするデジタル音楽プレイヤーの先駆けとなったウォークマン。同名のデジタルプレーヤーも存在するが、このウォッチャー氏が言うのは、ソニーが79年から販売し、10年前まで生産していたカセットテープのプレーヤーだ。
実際にヤフオクでは、80年代に発売されたウォークマン3台セットが1000円で出品されるや、瞬く間に21万5000円の値を付けた。前出・ウォッチャー氏がこう解説する。
「カセットテープ自体がほとんど流通していないメディアですが、愛好者は少なくありません。中には、あえてデジタル音源をテープに落として聞く人もいるぐらいですから、そうした人にとってみると、喉から手が出るほど欲しいんでしょう。限定品が出品されると1台でも10万円を超えることもあります」
動かなくなったジャンク品でも5万円ほどの値を付けるという。その理由を音楽業界関係者が分析する。
「カセットデッキはヘッドがどうしても磨耗してしまう。メンテナンスしたとしても部品を交換するタイミングというのがある。自分で交換できる人にしてみると、ジャンク品から部品を取りたいのでしょうね」
故障したウォークマンなら、我が家のどこかに眠っているかもしれない。