お年寄りの中には目を潤ませる人も少なくなかったというが…。
昨年の紅白歌合戦で、お茶の間を大いに驚かせた「AI美空ひばり」。その直後、ネット上では賛否が渦巻いていたが、1月も半ばを過ぎてほとぼりも冷めた今、またこの話が議論に上った。というのも、ポップス界の重鎮である山下達郎がAI美空ひばりについて、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組で「冒涜です」とズバリ言い切ってしまったから。
「リスナーからの『単刀直入にお聞きします。昨年の紅白、AI美空ひばりはどう思われますか?(中略)AI大滝詠一とかAI山下達郎なんて聴きたくありません」という質問に対し山下さんは『ごもっともでございます。一言で申し上げると、冒涜です』と言い切りました。あまりに強い言葉だったので、聴いている人はビックリしたようですが、その後ネット上には達郎さんのコメントを後押しする声が溢れています。ただ、紅白を観て涙したひばりファンは確かにいましたし、SNS等で批判する人はひばり世代ではないでしょうから、一概にネットの声が世間的評価だとは言い難い面もあります」(エンタメ誌ライター)
山下も自分からというより、リスナーの質問に答えて出た言葉であるが、だからこそ内に秘めた思いを吐露したとも思える。
「じつは妻でシンガーソングライターの竹内まりやさんが、紅白出演効果もあって、放送後に『いのちの歌』が桑田佳祐さんの記録を破り、オリコンシングルチャートで最年長1位を記録。ですから、夫の達郎さんもあえて紅白歌合戦をディスりたくはなかったと思います。でも、同じアーティストとして言わずにはおれなかったのではないでしょうか。今回は実存しない美空ひばりさんにセリフまでしゃべらせ、新曲『あれから』を発売する計画もあるようですからね」(前出・エンタメ誌ライター)
海外ではボーカリストをAIにしてツアーをしているロックバンドもある。でも、それはあくまで往年の名曲を歌わせてファンと懐かしい時間を共有する目的が強い。せめて、AI美空ひばりが歌った曲が「愛燦燦」や「川の流れのように」だったら「懐かしい」「やっぱりいい曲」という感想になっていたのかもしれない。
(塚田ちひろ)