昨年の日韓関係は「戦後最悪」と評され、12月24日に行われた日韓首脳会談でも関係改善への具体策は示されなかった。大波乱の引き金と見られるのが徴用工問題だ。
「〜2021年『世界経済リスク』入門」(小社刊)を上梓した経済評論家の渡邉哲也氏が解説する。
「18年に韓国の大法院(最高裁)は、日本企業が元徴用工に賠償金を支払う判決を下しましたが、早ければ今年2月にも、差し押さえされた株式などが現金化されるとみられています」
在韓日本企業が不当な不利益を被れば、日本政府も黙っていられない。
「韓国、ウソの代償 沈みゆく隣人と日本の選択」(扶桑社刊)の著者で経済学者の高橋洋一氏が推察する。
「仮に現金化を進めた場合、日本は初めて『制裁』へ移行するのではないでしょうか。関税引き上げ、日本国内の韓国企業の資産差し押さえ、韓国への直接投資規制など、いくらでも方法はあるでしょう。もちろん私はそうなることを望みませんが、ボールは韓国側が持っている状況です」
渡邉氏も韓国側への制裁についてこう話す。
「ビザなし渡航の禁止、送金停止が外為法上では可能であるということ。特にこの送金停止措置は韓国経済に大打撃を与えるでしょう。貿易決済に関わる韓国の国策銀行の信用度は国際的に見てかなり低く、日本の銀行が保証を裏支えしているわけです。送金停止とともに、保証枠が廃止となれば、半導体関連物資の輸出規制よりも大きなダメージを受けることになります」
結果、韓国はドル調達が困難となり、通貨危機の可能性も。そうなれば両国は「戦争状態」に発展するという。
一方で、新型ミサイルの開発で軍事的挑発を繰り返す北朝鮮に、アメリカはどう打って出るか。
「GHQの占領下に置かれた日本のように、(北朝鮮を)仲間に引き込むという方法も選択肢の一つとして考えられます。アメリカが内政に突きつける条件は2つ。民主化と議会民主制です。そのうえで日本の天皇制をモデルとした王政も認める。そうすれば、金正恩委員長の望みである金一族の存続は担保されますから」(渡邉氏)
北朝鮮を巡って、韓国がアメリカと綱引きをする可能性も十分に考えられるが、
「文大統領は左派の民族主義者であり、北朝鮮との民族統一を目指していると推察できます。仮に統一して選挙を行えば、金正恩は独裁者の強固な組織票を使って大統領になってしまうかもしれません。そうなれば、朝鮮半島全体が社会主義国家になってしまい、日本企業などは資本を吸い取られる可能性もある。そうなれば、徴用工どころの損害ではないでしょう」(高橋氏)
今年も半島情勢から目が離せそうにない。