今回は「レンタル中年ビジネス」について紹介したい。この副業の顧客は、文字どおり「中年男性との接点を求める依頼者」。仲介サービスのサイト上に登録された中年男性が、依頼者のニーズに応じてレンタルのオファーを受ける仕組みだ。
12年にオープンして“元祖”として認知されている「おっさんレンタル」をはじめ複数の類似サイトが存在しているが、レンタル時の業務内容は「悩み事の相談相手」「食事の同行」「軽作業」「暇つぶしのつきあい」など、簡単なものばかり。多くの仲介サイトでは「時給制」が採用され、おおむね1000円ほどだ。
いずれのサイトも基本ルールとして設定しているのが「女性との出会い」を目的とした登録の禁止。利用者の男女比は「2対8」と、女性の方が圧倒的に多いと言われているが、下心を持った登録はNGだ。
また、話題性が高いわりに、収益性に疑問を感じざるをえない印象だが、「やってみるだけの値打ちはありますよ」と証言するのは、先日からこのビジネスを実践しているという40代のバンドマンA氏である。
それでは具体的な登録方法を見ていきたい。
大手仲介サイトの登録フォームでは、最初に47都道府県の中から「登録エリア」を選択。さらに、「相談」「掃除」「送迎」「同行」「力仕事」など、レンタルされた際に対応可能なサービスにチェックを入れていく。
続けて「住所」「氏名」といった基本情報を入力し、「レンタルされた際に提供できること」を自由に記入。「本人確認書類」とサイト上に掲載したい「プロフィール写真」をアップロードすれば申請完了だ。
その後、審査を経て登録に至る流れだが、多くの仲介サイトで必要となるのが「入会金」と「月額登録料」。ある大手サイトの場合、1万円の入会金に加え、1カ月あたり1万円の登録料は1年分前払いが義務づけられているため、初期登録時に13万円を一括して支払う必要がある。
こうした高額な登録費用のわりに、報酬が「時給1000円」の固定であることを踏まえると、副業として成立するのか、はなはだ疑問に思えてくるのだが――。
「あくまでも“入り口”と考えることで、他の商売の利益につなげられるんですよ」とは前出のA氏だ。
「自分がレンタルされるだけでは大したおカネにならないのですが、私の場合、悩み事を聞いてあげたお客さんの大半がライブのチケットやライブDVDを買ってくれるので、結果として懐が潤うんです。先月の『レンタル中年』としての売り上げは3万円ぐらいでしたが、このビジネス経由で売れたライブ関係のグッズは10万円以上。正直、かなりオイシイ仕事ですね」
“出口”を意識した取り組みが「レンタル中年」で儲けるコツなのであった。
(もとおり・ひろゆき)