公取委が「アマゾン」への立ち入り調査に乗り出した背景

 アマゾンジャパンは、5月23日から、通販サイトの「アマゾン」で販売するすべての商品に1%以上のポイントを付与するとした。しかし公正取引員会では、これが独占禁止法の“優越的地位の乱用”に当たる可能性があると見て、実態調査に乗り出すとし、合わせて「楽天市場」や「ヤフーショッピング」などでも調査を進めるという。
 
「これまでアマゾンでは、ポイントが付く商品と付かない商品があり、また100円が1ポイントとも決まっておらず、存在感が薄いものでした。しかし『楽天市場』や『ヤフーショッピング』など、ポイント利用でユーザーを呼び込む通販サイトに対抗するため、『アマゾン』でも力を入れることになったと見られています。ただ、そのポイント分の負担を外部の出品者に負担させるという方式が、独禁法に引っ掛かる可能性があるというのです」(経済評論家)

 商品購入時に1%、またはそれ以上のポイント付与については「楽天市場」「ヤフーショッピング」でもすでに行われていたことだが、なぜここへ来て公取委は本腰を入れ始めたのか。
 
「これには、昨年末に公取委と経済産業省、総務省の合同で開かれた『デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会』が影響していると見られています。そこでは特に、時価総額のランキングトップを占める『アマゾン』を含めた『グーグル』『アップル』『フェイスブック』の、いわゆる“GAFA”に対する規制強化を確認している。これらの企業は強い立場を利用して取引先に一方的な条件を強要する事例が相次ぎ問題視されているためで、今回、その中の『アマゾン』が標的になったと見られます。楽天とヤフーは、それに引きずられる形で調査対象となったのではないでしょうか」(同)

 何やらネット通販界がザワつき始めた。

(小島洋三)

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