絶不調の宇野昌磨を立て直すのはトゥトベリーゼかランビエールか

 今季のグランプリシリーズ(GP)でまだ表彰台に上がっていないフィギュアスケーターの宇野昌磨が決断したようだ。

「次の試合で、もしかしたら違う心境になるかもしれない。今後の試合次第だと思います」

 これは、宇野にとってGPシリーズ初戦となるフランス大会中に出たセリフ。初日のショートプログラムで4位と出遅れ(最終は8位)、「コーチ不在が不振につながっているのでは?」という質問に対しての答えだが、次に出場したロシア大会でも4位と冴えなかった。

 今季、宇野は「コーチ不在」でシーズンを迎えた。フランス大会で出た言葉通りなら、「新しいコーチ」を決める時が来たようだが、そう簡単には決められそうにない。
 
「フランス大会の後のロシア杯では、元世界選手権王者のステファン・ランビエール氏が帯同しました。新コーチは彼に決まると思われますが、次の20‐21年シーズンも見据え、熟考中のようです」(体育協会詰め記者)

 というのも、宇野はこれまで浅田真央などを育てた山田満知子、樋口美穂子両氏に師事していた。山田コーチから「独り立ち」を勧められ、今年6月にはロシアの名コーチ、エテリ・トゥトベリーゼ氏のレッスンにも通ったが、コーチ契約には至らなかった。

「海外メディアは『宇野の新コーチはトゥトベリーゼ氏で決まる』と伝えていました。トゥトベリーゼ氏はエフゲニア・メドベージェワやアリーナ・ザギトワらを育てた旬の世界的な指導者ですが、契約書が複雑だったのか、お互いに話が食い違う部分が出てきてまとまりませんでした」(特派記者)

 しかし、海外メディアが「トゥトベリーゼ氏で決まる」と伝えてしまったため、すぐにランビエール氏に乗り換えることもできなくなってしまったようだ。また、契約に関する食い違いが起きないよう、宇野自身も慎重になっているという。

「宇野は羽生結弦が全盛期のうちに彼に勝ちたいと思っています」(同前)

 この大きな野望を実現するためには、やはり敏腕コーチによるサポートが必要だ。NHK杯で優勝した羽生を見て、宇野は改めてトゥトベリーゼ氏との契約書を読み直していたのではないだろうか。

(スポーツライター・飯山満)

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