コナカ、青山、AOKI…軒並み赤字「大手紳士服チェーン」苦境の理由

 大手紳士服チェーンが次々と赤字に転落し、サラリーマンの“スーツ離れ”が浮き彫りになっている。
 
「紳士服大手の『コナカ』は11月8日、2019年9月期の決算短信を発表し、最終損益が約53億円の赤字になることが明らかとなりました。同社は昨年に続いて2期連続の赤字となりますが、今年は郊外の店舗など38店を閉店したことで約47億円の損失を計上したため、昨年の約10倍以上の大幅な赤字に転落したのです」(経済部記者)

 また同日には、「洋服の青山」を展開する青山商事も、20年3月期の最終損益が20億円の赤字になると業績予想を下方修正。最終赤字となれば、64年の創業以来初めてのこととなり、さらにはAOKIホールディングス(HD)、はるやまHDも、軒並み赤字状態に陥っているのだ。
 
「そもそも、紳士服チェーンの売上は1994年をピークに右肩下がりとなっており、2007年ごろには団塊の世代が一斉に退職したことで、売上はさらに落ち込みました。そして、ここ数年はクールビズが定着しサラリーマンのカジュアル化が進行したことにより、夏以外でもスーツを着ない場合も多く、スーツは冠婚葬祭の時だけという人も増えている状況なのです」(経済ジャーナリスト)

 とはいえ、ビジネス街を歩けば多くのサラリーマンがスーツを着て歩く姿を目にする。紳士服チェーンが揃って赤字に転落するほど危機的にも思えないのだが…。
 
「サラリーマンに選ばれるビジネススーツが高級品と低価格品に二極化する中で、以前は低価帯を紳士服チェーンが担っていましたが、最近はユニクロが東レと共同開発した『感動ジャケット』や『感動パンツ』が上下セットで1万円で購入でき、またイオンやイトーヨカドーもプライベートブランドにおいて1万円台で販売し始めたことで、完全に低価格スーツのシェアを奪われてしまったのです」(業界関係者)

 スーツ離れや低価格スーツの登場によって紳士服チェーンを利用する人が激減。未だ復活の糸口が見えないのが現状だ。

(小林洋三)

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