【マル秘 副業バイブル】「民泊バブル」に乗っかるほったらかし錬金術

 インバウンド(訪日外国人)の急増を背景に、「民泊」のニーズが高まっている。空き室の有効活用に注目が集まる中、一流ホテル並みに「1泊10万円」で貸し出す高級ハウスもチラホラと‥‥。空前の「民泊バブル」に乗じて大金を稼ぐ方法とは?

「東京の板橋区でマンションの中国人オーナーが家賃を2倍以上に値上げしたニュースが話題になりました。裏を返せば家賃収入よりも民泊のほうがはるかに儲かるということ。都内では民泊特区を除き、年間の宿泊日数を最大180日に制限しているエリアがほとんどですが、無許可の民泊はゴマンとありますよ」

 こう話すのは都内の不動産ブローカー。続けてバブルの実態をこう説明する。

「浅草に近い台東区、歌舞伎町に近い新宿区では高級賃貸物件の争奪戦が激化しています。例えば家賃100万円のマンションを借りて1泊10万円で貸し出す。海外の富裕層は長期滞在を好むので、月300万円の宿泊料が転がり込むことも‥‥。よほど悪質でなければ摘発されないし、もし逮捕されても100万円の罰金で済みますからね」

 では“万博特需”で盛り上がる大阪ではどうか。

「東京のように1泊10万円という高額帯は稀ですが、ここ数年で民泊の軒数は飛躍的に増えました。当社が運営・管理している物件数も、コロナ前と比べ、約2倍になっています」

 そう語るのは、大阪を拠点に民泊運営代行業を展開する株式会社グレートステイのアカウントマネージャー、坪井憲太氏だ。

 大阪府の実態調査によると、25年4月時点で府内の民泊物件数は6000軒を超えた。投資家の間では「大阪はすでに飽和状態」との声も上がるが、坪井氏は「まだまだ伸びる余地がある」と断言する。

「万博で民泊が急速に増えましたが、私の実感としては、まだまだ供給が足りていない印象です。なにより、万博終了後にはIR(統合型リゾート)事業も控えており、今後もインバウンド需要は高まり続ける見込みです。すでに先を見据えて準備を始めている事業者も多く、これからが本番ですよ」

 実家が空き家になっていたり、子供が独立して広い家を持て余していたり‥‥。はたまた「民泊OK」の賃貸物件に住んでいる御仁は、この稼げる好機を逃す手はない。

 民泊運営代行サービスStay Buddy株式会社の代表・巻木周平氏は、民泊業界への参入についてこうアドバイスする。

「大阪市内では、ミナミやキタといった中心地は競争率が高く、よほど好立地でなければ厳しいですね。おすすめは生野区や福島区、谷町界隈など、観光地から少し外れたエリアにある賃料10万円以下、50平米程度の物件です。夫婦やカップルなど二人世帯をターゲットに、200万~300万円ほど初期費用をかけてリノベーションすれば、安定して利益を出せるはず。1年ほどで初期費用を回収することも十分可能です」

 一方の坪井氏は、外国人観光客に人気の“穴場エリア”を推す。

「USJに近い西九条や、昔ながらの飲み屋街として根強い人気を持つ十三、ビジネスと観光の両面でアクセスがいい新大阪から一駅の西中島南方あたりは、賃料も手頃で狙い目です。70~100平米ほどの一軒家を借りて、宿泊料を相場の1泊3万~5万円に設定すれば、十分に利益が見込めます。仮に1泊3万円で20日間稼働すれば、月に60万円の売り上げになりますからね」

 運営は代行業者に任せて驚きの不労所得が! まさに夢のような“ほったらかし錬金術”だが、ここで注意点を解説しておこう。

 まずは民泊許可を取ることが大前提。加えて、マンションによっては管理規約で営業自体が禁止されているケースもあるため、事前調査は欠かせない。

 さらに坪井氏は“安上がりなDIY”でリノベーションを済ませるリスクをこう指摘する。

「費用を抑えたいという気持ちはわかりますが、チープな設備や内装では宿泊者のマナーも乱れがち。マグカップを灰皿代わりに使われたり、備品が壊されるなどのトラブルが起きやすくなります。ある程度のグレード感を出すためのリノベーションが結果的に必要となりますね」

 一方、巻木氏は、民泊の“魅せ方”が成否を分けると強調する。

「民泊ごとにコンセプトを考え、それに合った内装や備品を整えていくことが大切です。他と差別化を図ることで、ようやく宿泊施設としての個性や魅力が立ち上がってくる。ただ『泊まれる場所があればいい』という感覚では、思うような成果は得られませんね」

 こうした注意点を踏まえ、坪井氏は個人運営には限界があると付言する。

「空き家や投資用物件を活用するのは可能ですが、消防設備の整備や保健所の手続き、宿泊者対応や清掃など、やることは山ほどあります。時間や手間を考えれば、我々のような代行サービスを利用するほうが現実的だと思います」

 その一方で、代行業者選びにも注意が必要となる。巻木氏が再び警鐘を鳴らす。

「例えばWi-Fiのトラブルが起きても迅速に対応できなかったり、掃除が不十分でクレームにつながるケースもあると聞いています。業者によって質に差があるので、最低でも数社から見積もりを取り、料金体系などを細かく確認することが大切です。不明瞭な費用項目があったり、質問に曖昧な返答しかできない業者は避けたほうがいいですね」

 では実際、代行を利用した場合にどれほどの利益が見込めるのか? 巻木氏が現在手がけている物件を例に明かしてくれた。

「西成区で駅近、120平米の物件を賃料30万円で民泊として運営しています。月あたり90万~120万円の売り上げ。そこから賃料や代行費用を差し引いても、毎月40 万~60万円の利益が出ていますよ」

 夢が広がる民泊バブル。乗るならきっと今しかない!

マネー