猛暑と熱中症対策で夏休み延長の学校が全国に拡大中!教育現場のホンネは

 7月下旬から8月下旬にかけては小中高校の夏休み期間。新学期の開始時期は地域によって異なるが、雪国など冬場寒い地方ほど夏休みはやや短く、冬場はやや長くなっている。だが、温暖化による夏場の猛暑は児童や生徒の熱中症リスクを高め、夏休みの期間を延長する学校が全国的に増えている。

 例えば、大分市では昨年度から市立小中学校の夏休みの終了日を8月24日から31日に1週間増やし、群馬県でも昨年度と今年度合わせて18市町村が夏休みをそれぞれ3~7日延長している。

 また、23年の北海道では夏休み明けも猛暑が続いたことから臨時休校が相次ぎ、道教育委員会が規則を変更。24年度から各地の公立学校で夏休み期間が増えることとなった。

 だが、実際には9月に入っても猛暑が続き、SNS上には《体育の授業で熱中症になりかけた》なんて投稿も。そのため、《大学のように新学期の開始を9月中旬以降にしたほうがいい》など夏休み期間のさらなる延長を求める声は多いが、そもそも各自治体の教育委員会も自由に休みを設定できるわけではない。教育専門誌の記者は次のように語る。

「学校教育法施行規則により各教科の標準授業時数が決められているからです。しかも、現在は完全週休二日制のため、ただでさえカリキュラムを組むのが大変。夏休み期間をさらに延長すれば授業時数を確保できなくなります」

 以前の週休二日を隔週にすれば授業時間の確保は可能になるが、教職員にとっては負担が増すだけ。ただでさえ彼らの仕事量は多く、不利益でしかない改革は非現実的だろう。

「ちなみに文部科学省が昨年発表した『公立学校施設における空調(冷房)設備の設置状況調査』によると、教室冷房設置率は小学校99.1%・中学校98.9%・高校99.4%といずれもほぼ100%近い。学校関係者からは、『気温の高い日は屋外での体育の授業を避ける必要はあるが、わざわざ夏休みを延長しなくても対応できる』との意見もあります」

 すでに導入している自治体の事例を見る限り、夏休みが“少し”増えることはあっても大幅に延長するのは難しいのかもしれない。

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