尾身会長「帰省と旅行控えて」訴えも虚しい“夏休み国内旅行者”大暴走の予感

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が会見を開き、「夏休み期間中の感染拡大を防ぐために」と題した談話を発表したのは7月16日。夏休み期間中の感染拡大を防止するため県境をまたぐ移動はできるだけ避けるよう呼びかけたが、現実はそうはいかないようだ。

「尾身会長は会見で、この2カ月が感染対策における『まさに山場だ』と強調。『東京を中心にすでにリバウンドの状況に入っている中、地方でも感染拡大が始まりつつある。そのうえに夏休みで人流が増加することで、全国で感染拡大や医療ひっ迫のリスクが高まってしまう』と帰省や旅行での移動を控えるよう求め、東京五輪については家族などと家での応援を推奨しています」(報道部記者)

 しかし、JTBが19日に「2021年の夏休み(7月20日~8月31日)の旅行動向」を発表し、1泊以上の国内旅行に出かける人は4000万人になるとの推計を明かしており、この数字はコロナ感染拡大前の2019年に比べれば44.8%減となっているものの、昨年からは5.3%増。観光地での人出はかなり増えそうなのだ。

「ネット上では《政府が「オリンピックやめて」という国民の声を聞かないのだから、国民が「帰省やめて」という政府のお願いなんて聞くはずが無い》《十分控えていますし、控えました。だがそれをぶち壊す政治政策をする輩がいて許せない》《夏休みに子供と思い出作りして何が悪い!わたしは感染対策しながら出掛ける》《帰省します。一人暮らしの母が、孫の帰省を待ち望んでいます。これまでずっと我慢してきました》など我慢の限界だという声が多く見られます。すでに多くのホテルは夏休みの予約が埋まっている状況だという報告もあるので、帰省する人も含めればかなり多くの県境をまたいだ移動が起こると見られています」(経済ジャーナリスト)

 もはや政府の注意喚起は、虚しく響くだけの状況のようだ。

(小林洋三)

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