小泉進次郎農水大臣が進めた随意契約による放出で、政府備蓄米が5キロ2000円台で全国小売店の店頭に並んだ。いわゆる“小泉米”にくらべて、江藤拓前大臣時代に競争入札で売却された備蓄米の大半はいまだ小売店に届いていないと指摘されている。
6月22日放送のテレビ朝日系「ビートたけしのTVタックル」では、コメの流通経路について議論が繰り広げたのだが、社会学者の古市憲寿氏の発言に視聴者から多くのツッコミが寄せられている。スタジオでは元JA全中常務理事の福間莞爾氏が、コメを扱う「5次問屋」について説明。社会起業家の石山アンジュ氏は、「これだけ生産価格と販売価格にギャップがある食品って、お米だけだと思うんですよ」と述べ、「自分の知り合いの農家さんに聞くと、時給300円とか400円くらいで作ってる」とコメント。コメ価格が高騰しても、時給換算でいえば「500円くらいの微増でしかない」と窮状を訴えた。
その後、福間氏はおよそ2000円で店頭に並んだ“小泉米”について、「政府が補償をした価格なんですよ」と指摘。競争入札と随意契約では60キロあたり1万円もの差額があると説明し、「2000円っていうのはあくまで政府の財政負担で成り立っている」「マーケットの中で自然にできたものではない」と主張。これに古市氏は「関税も自然じゃないですよね」「関税もやめましょう、自由競争にしましょうっていうほうが自然じゃないですか?」とコメの輸入自由化を訴えた。
福間氏は農家の立場から、「2000円でね、今農家はね、おコメを作る人なんか誰もいませんよ」と述べ、古市氏は「でも、農家は2000円ももらえてないわけでしょ? おかしいじゃないですか」と、農家の時給になぞらえて異論を口にしたのだが、SNSでは《店頭価格と時給は違うだろ》《何言ってんだ? 5キロ2000円が当たり前になったら時給300円ももらえないよ》《噛み合ってないよ。古市さんは大丈夫か?》などと理解力を疑問視する声が寄せられていた。
「福間氏は5キロ2000円というコメの価格は、あくまで政府による社会保障で、それが当たり前になったら農家はますます食べていけなくなると主張したのですが、古市氏はそれを時給だと勝手にとらえて『2000円ももらえてない』と述べて、『今の高いお金が農家に直接いってるならいいんですけど』と持論を展開していましたが、福間氏は終始キョトンとしていましたね」(メディア誌ライター)
3月に都内で行われたデモでは、「コメ農家は時給10円」という声も挙がった。時給2000円はさすがに飛躍が過ぎたかもしれない。