2人乗り3000円、信号無視6000円、逆走・歩道通行6000円、そして携帯電話の使用(ながら運転)には、なんと1万2000円也…。6月17日、警察庁から発表された、来年4月1日から導入される自転車の交通違反に対する高額な青切符金額に驚愕した人も多いことだろう。
「青切符」とは、反則金を納めることで刑事罰を免れることができるものだが、警察庁は昨年の道交法改正で、対象を16歳以上とした113種類の青切符対象事案を検討。この度、その具体的金額が正式に発表された。
「警察庁によると、2024年の自転車関連事故件数は6万7531件。これは全交通事故の約2割に相当するといいます。さらに同年の自転車による交通違反の検挙数は5万1564件で、10年前、つまり14年が8070件だったことを考えると、その数は5倍以上に膨れ上がったことになる。ただ、この数字は氷山の一角。検挙されない違反を加えれば、その数は数倍、いや数十倍に達することは間違いないでしょう」(社会部記者)
今回、警察庁は違反行為と反則金に関連し、1カ月間のパブリックコメント(意見公募)を募った。その中には「いくら何でも高すぎる」という声と、もはや原付バイク同様の危険性を持つ自転車の反則金はバイクと同額にすべきで「これでは安すぎて抑止につながらない」といった意見がほぼ同数あったとしている。
「たしかに、自転車に乗った配達員が猛スピードで歩道を駆け抜けていったり、子供を後ろに乗せた主婦が堂々と信号無視をする風景はよく見られるものの、自転車だから、とどこか緩く見られていてことも事実。しかし、近年は自転車との接触事故で多くの方が亡くなっており、酒気帯び運転も相変わらず後を絶たない。注意喚起や啓発による『モラル頼み』だった自転車の交通違反対策が、もはや限界を迎えていたということです」(同)
施行される来年4月までには9か月ほどあるが、自転車は免許が不要であることから、交通ルールを理解していない場合も少なくない。そしてもちろん、「青切符」が導入されるからには、それに従わなければ今度は刑事罰が下ることになる。
「よく『青切符なんて払わなくても大丈夫』などとタカをくくり、納付を逃げ切ろうとする人もいるようですが、青切符告知を受けても反則金を納付しない場合は『通告』を受け、それでもなお払わなければ、行政手続きから刑事手続きに移行します。成人であれば検察庁に送致され、起訴されれば裁判所で審判を受けることになります」(同)
もちろん、現在も悪質違反については青切符ではなく赤切符(免許証保管証)が交付され、刑事罰として検察庁に送られることになる。
「ただ問題は、自転車とはこうやって乗らなければいけない、という“そもそものルール”を理解していない人たちに、この9か月で交通マナーをきちんと広報できるかどうか。『自転車は歩道を走るもの』と思い込んでいる人も多く、そんな人たちが突然車道を走りだせば、車との接触事故が増える可能性もある。いずれにしろ、自転車による交通事故減少を目的にした『青切符』導入が、交通事故増加を誘発しないことを願うばかりです」(同)
来年の本格施行に向け、交通ルールをしっかりと身につけることを心がけること。それがひいては、自分の命を守ることに繋がることを忘れてならない。
(灯倫太郎)