コメ卸大手が「過去最高益」に上方修正して、ネットにあふれた国民の憤懣

 コメ価格の高止まりが続く中、江藤拓農林水産大臣は4月22日の会見で「備蓄米を出しても店頭価格が下がらない。責任を重く感じている。申し訳ないと思っている」と陳謝した。

 庶民の味方、牛丼チェーンの「松屋」は、22日から「牛めし」の並盛りを30円アップの460円に値上げ。高騰するコメ価格をあらためて実感した人も多かったのではないか。

 そんな中、日本のコメ販売数量トップクラスの卸売会社「木徳神糧株式会社」が21日、2025年12月期の連結業績予想を上方修正した。同社は修正の理由として、取引先への安定供給に努め、原料価格の高騰に対して適時適切な価格転嫁を進めた結果、想定を上回る成果が見込まれるとし、純利益を従来の18億円から28億円に引き上げた。また売上高も従来予想より100億円増の1650億円とし、いずれも過去最高益を更新する見通しだ。

 コメ価格高騰については、これまで全体の供給量の減少や、肥料、燃料のコスト上昇、業者の買い急ぎ、買い溜めなど様々な理由が上げられていたが、大手卸売会社の最高益が報じられたことで、「農家が赤字で小売にも利益がないと思ったら問屋だったのか」との声も上がっている。

 同社は普段、取引先スーパーの「特売」のために安価にコメを卸していたが、昨今のコメ価格高騰を受け特売が減ったことも業績を押し上げたようだ。

 備蓄米を放出しても下がらないコメ価格に列島に憤懣がたまるなか、卸売会社が過去最高益とは、なんともタイミングの悪い業績発表となった。

(ケン高田)

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