横浜が本拠地で、安売り路線により首都圏で強みを発揮してきたスーパーのオーケーが11月26日、いよいよ関西に初出店した。オーケーの関西進出といえば、2021年に買収攻勢で進出を試みたものの、地元の連携に阻まれて一敗地にまみれたことが記憶に新しい。
「当時、兵庫・大阪・奈良に60店舗を展開していた名門『関西スーパーマーケット』(以下、関西スーパー)の買収合戦で、オーケーは阪神阪急東宝グループの小売り事業を統括するH2Oリテイリングに敗れました。関西スーパーの株主総会でH20との統合案が可決されたからですが、オーケーはこの際の集計に疑義を唱え、統合差し止めの仮処分申請もしています。最終的には最高裁まで争われましたが、深い遺恨を残すことになりました」(経済ジャーナリスト)
そしてオーケーは21年末、今回の出店地の土地を取得。買収合戦という空中戦から、売上競争という地上戦で激しくぶつかり合うことが予想されたが、いよいよ対決の火ぶたが切って落とされたというわけだ。
オーケーの出店先である東大阪市高井田は、周囲1キロ以内に7つのスーパー、ディスカウントストアも複数あるという激戦地。とりわけ同じ大通りの目と鼻の先には、関西地盤の「ライフ」があって、メディアでも両者の対決に注目が集まっている。だが、スーパーは生活に根ざした存在なので、単なる近所の客の取り合いだけでは済まされないようだ。
「ライフはオーケーの出店に合わせてリニューアルを行っており臨戦態勢は万端。ですが、ライフは価格帯としては中間レベルで、客層は必ずしもオーケーとバッティングしません。オーケーと客層がカブるのは、ライフより少し先にある、地元でお馴染みの『万代』でしょう。オーケーが昨年10月に銀座に出店した際に『299円弁当』が話題になりましたが、万代も399円弁当が有名で価格帯は近い。ですが、万代の店内は“ザ・関西”と言いますか、『チョコといえばこれですわ これだけあれば勝ちですわ』『毎夜コレですわ!! これ食べて酒飲んで永久コンボですわ』『今回はラスクですわ 美味いに決まってますわ 手がとまりませんわ』と、話しかけてくるようなポップが有名で、空気感はたいぶ違う。このように、価格帯や地元密着の雰囲気で棲み分けが出来上がっているところに、オーケーが割って入るのはそう容易ではないでしょう」(同前)
オーケーの二宮涼太郎社長は関西の出店について、「規模感を出すには10、20店舗では(足り)ない」として、同社得意の集中出店戦略を取るという。オーケーの手法が関西で通用するかはともかく、地元消費者としては特に安さの面で選択肢が増えるのは大歓迎だろう。
(猫間滋)