映画やアニメ、漫画などのフィクション作品などにたびたび登場する「レールガン」や「ビーム砲」。厳密にはどちらの兵器とも別物と言えるが、近未来兵器は世界各国で開発が進められている。
なかでも実用化に向け大きくリードしているのがイスラエル。ミサイルや迫撃砲、無人攻撃機などの迎撃用兵器として来年中の本格的な実戦配備を目指しているのが「アイアンビーム」だ。
開発したのは、イランやヒズボラによる攻撃を何度も防いだミサイル防衛システム「アイアンドーム」を手がけた同国の軍事企業ラファエル・アドバンスト・ディフェンス・システムズ社。運用射程距離は推定7kmで、高エネルギーの指向性レーザーによって上空のドローンやミサイルを撃ち落とす。これまでもイスラエルの防空システムは鉄壁を誇っていたが、それをさらに盤石にさせる兵器であることは間違いない。
「イランやヒズボラ、ハマスの遠距離攻撃用の兵器と比べると、一歩どころか二歩も三歩も先を行っています。かつて銃や航空機の出現で戦争の形は一変しましたが、アイアンビームも新時代の象徴となる武器となるのは間違いありません」(軍事ジャーナリスト)
しかもアイアンビームは既存兵器を無力化させる効果がありながら、信じられないほど安い。22年4月に当時のイスラエル首相だったナフタリ・ベネット氏はX(旧ツイッター)に、1発あたりのコストが3.5ドル(約540円)であることを明かし、《SFのように聞こえるかもしれないが、それは現実だ》と述べている。
「イスラエルが実戦配備すれば、支援する米国での運用も時間の問題。軍事的にも大きなアドバンテージとなるため、ロシアや中国など西側諸国以外は開発で遅れを取った場合、外交戦略の見直しが必要となってくるでしょうね」(同)
どうやら人類は、アイアンビームの誕生によって新たな歴史へと突入しつつあるようだ。
※画像は、イスラエル国防軍のアイアンビーム(ラファエル社のホームページより)