「24時間以内に戦争を終わらせる」トランプ氏豪語のウクライナ戦争終結計画は単なる大風呂敷か

 7月21日、バイデン大統領がついに11月に行われる選挙戦からの撤退をSNSで表明した。代わる候補としてハリス副大統領を支持したバイデン氏は「今こそ団結してトランプ氏を倒す時だ」と訴えているが、民主党支持者の間でも、ハリス氏の不人気ぶりはよく知られる話。しかも、バイデン氏が民主党議員らの撤退圧力に屈したとのイメージがついたことで、選挙戦では俄然、トランプ氏が有利になったのは確実。共和党内では「確トラ」どころか、すでに新大統領誕生ムードに包まれているとの報道もある。

 さて、そんなトランプ氏が次期大統領になった場合、自身が繰り返し言い放っていたように、本当に「24時間以内でロシアとウクライナの戦争を終わらせる」ことができるのか。そこが世界が注目する最大課題だろう。

「トランプ氏は18日、大統領選に向けた共和党の候補指名を正式に受諾。翌19日には、SNSのトゥルース・ソーシャルへの投稿で、ウクライナのゼレンスキー大統領と『非常に良い電話会談を行った』と、同氏から共和党全国大会の成功に対する祝福も受けたことを明らかにしている。両者が電話で言葉を交わすのは、トランプ氏の大統領退任以降初めてとされますが、あるいはこの時点で、トランプ氏はバイデン氏の選挙戦撤退の情報を掴んでいた可能性もあります。もちろん電話会談の具体的な内容はわかりませんが、トランプ氏のこと、ウクライナ戦争に対し、どのような政策で臨むのかをほのめかした可能性もあり、欧州各国の間には、すでに懸念の声が広がっているようです」(外報部記者)

 2人が電話会談を行ったとされる前日、BBCの単独取材に答えたゼレンスキー氏は「24時間以内に戦争を終わらせることができる」というトランプ発言について、方法があるとすればそれは、「ウクライナに対価を支払うよう圧力をかけること。戦争を止めて奪われたものを与え、そして忘れるということ」として、「自分たちは絶対にそれには応じない」と断言している。

「ロシアのプーチン大統領はこの数カ月、繰り返しウクライナとの交渉に臨む姿勢を見せていますが、そこで掲げる条件は、4州(ドネツク、ルハンスク、ヘルソン、ザポリージャの各州)全土の割譲です。もちろん現状でこれらの州の大半はウクライナの支配下にありますが、プーチン氏はこれ以上、血を流したくなければ黙ってこれらの領土を明け渡すよう求めている。当然ながらウクライナや西側同盟国がそんな一方的な条件を飲むはずはありません。そうした状況下で、トランプ氏がどう折り合いをつけようとしているのか。そこに、世界の注目が集まっています」(同)

 11月の大統領選で民主党の勝利となれば、ウクライナ支援は継続されるはずだ。一方、トランプ氏が勝利した場合でも、米国の支援打ち切りでウクライナ崩壊となれば、米国が多大な影響を与えることは必至。そあたりをトランプ氏はどうハンドリングしていくつもりなのか。「確トラ」で2年以上にわたるこの戦争の終わりが見える日は来るのか、それとも単に大風呂敷で終わるのか。

(灯倫太郎)

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