小林製薬が「自業自得」とも言えるピンチに立たされた。武見敬三厚労相は6月28日の会見で、同社の「紅麹」原料を使用したサプリメントによる健康被害が続出した問題について言及し、把握している5人以外に、死亡に関して遺族から170件もの問い合わせを受けていたにもかかわらず、厚労省に報告していなかったことを明らかにした。武見氏は「小林製薬の判断で報告がされていなかった。極めて遺憾だ」と述べた。
170件のうち、91件はサプリメントを摂取していなかったことが確認された。また、別の3件は医師の判断により、サプリメントとの因果関係は認められなかったという。小林製薬は現在、残りの76件について調査を進めており、厚労省から6月29日までにその計画を報告するよう求められていた。
また、サプリメントの被害は台湾でも起きていた。台湾メディアによると、サプリメントによる健康被害を訴えている消費者ら30人あまりが、小林製薬の台湾法人に対して損害賠償を求め、集団訴訟を行うという。
こうした拡大するサプリメント被害によって、もう1つの重大な問題が発生している。株主が悲鳴を上げているのだ。株式関連の掲示板では《さすがにもう株価、戻って来ないかもね》《すぐにバレるに決まっているのに、なぜ隠蔽したのですか》《これ上場廃止まであるよ》など、悲観ムード一色だ。
「小林製薬の株価は6月28日に前日比395円安の5223円で取引を終えています。直近52週の最安値は4700円ですが、サプリメントの被害拡大を考えれば、さらに安値を記録してもおかしくない状況です」(マネー誌ライター)
株主が頭を抱える状況は今しばらく終わりそうもないようだ。
(石田英明)