小林製薬の「紅麹問題」は、その原因究明もさることながら、他の健康食品やサプリメント商品全体の安全性が問題視される事態となった。
特に紅麹関連商品が「機能性表示食品」を謳って販売されていたことから、機能性表示食品の意味や在り方が問われている。
「紅麹問題を機に、消費者庁は機能性表示食品についての制度の総点検を始めました。4月19日には学者、医師、栄養士会、薬剤師会らの専門家からなる検討委員会が開催され、オンラインでも公開されています。委員会は、5月末をめどに意見を取りまとめるとしています」(全国紙記者)
消費者庁の発表によると、2015年に機能性表示食品の制度がスタートして以来、8198件の届け出があったという。ところが、このうち2割近い1500件が撤回されているのだ。つまり、5件に1件は健康被害の可能性があったり、謳っている効果に科学的根拠が乏しいとして、消費者庁が措置命令を出していたのである。
また、今回の騒動を受け、消費者庁が機能性表示食品の届け出がある1700の事業者に緊急調査を行ったところ、1割の業者は回答しなかったことが18日に明らかにされた。
機能性表示食品と同じような高機能食品には「特定保健用食品」のトクホがあるが、こちらは国が審議を行い、許可を出す仕組みだ。一方の機能性表示食品は、有効性や安全性はあくまで届け出だけで、事業者の責任で機能性の表示を行う制度である。
「機能性表示食品がスタートした2015年以後、トクホは15年の1238件から22年の1062件と漸減しました。一方、機能性表示食品は、15年の272件から22年の5421件と爆発的に増加しています。審議から許可が下りるまで時間とコストがかかるトクホより、届け出制の機能性表示食品のほうが企業にとってはメリットが大きいということでしょう。ですが、その分、安全性がないがしろにされているのでは、という指摘もあるのです」(前出・記者)
守られるべきは企業の利益より消費者の安全であるのは明白だ。消費者庁の大ナタが期待されるのである。
(猫間滋)