支持率低迷、解散も内閣改造もままならず、今や死に体寸前とも言える岸田政権。党内から公然と辞任論も飛び交い始める中、「岸田抜き」の次期総裁選に向けて動きが活発化している。
そんな中、注目されているのが、2012年に初当選した自民党議員で構成される「いいくに会」、いわゆる安倍チルドレングループだ。
「安倍晋三元首相のもとで行われた総選挙で初当選した議員で構成される『いいくに会』は、2013年に発足しました。当時は会員が119人いたため(その後の選挙などで減数)、ゴロあわせで『いいくに会』とした。その会が、6月19日に党本部で総会を開き、現在、在会するメンバー74人のうち約50人が出席しました。会長の大西英男氏は、『いよいよ反転攻勢だ。自民党がどん底の中から国民の期待に応えられるような政党に生まれ変わっていくべきときが来た』と檄を飛ばし若手を鼓舞していましたね」(政治部記者)
この日は総裁選出馬をにらんでいると言われる茂木敏充幹事長が講師として呼ばれた。ただ、仮に茂木氏が立候補したとしても、いいくに会が同氏を推すかはまだ決まっていないという。同会のメンバーの1人が言う。
「会は派閥横断的だが、発足当時の総裁が安倍さんで幹事長が石破茂さんだった。2人とも発足式には顔を出していただいている。とは言っても、会として石破さんを推すか、まだ決まっていない。ただ、派閥が解散した今は『自民党が国民に受け入れられる候補』を推す方向でいく。そのため、思い切って若手を、という声も出ているね」
その1人としてメンバー内から名前が挙がったのが、小林鷹之前経済安全保障担当相だという。小林氏は四期目の旧二階派所属議員だ。
「総裁選は岸田文雄首相もヤル気満々ですが、今回の政治改革案で麻生太郎副総裁との対立も懸念されている。また、旧安倍派の総裁候補らは、裏金問題で今回は総崩れ。岸田さん以外では茂木、石破、河野太郎、小泉進次郎、高市早苗、加藤勝信、上川陽子氏らの名前が挙がっていますが、そんな状況下で『いいくに会』が誰を推すことになるのか、注目されています」(前出・記者)
表向きは解消されたとはいえ、まだまだ「旧派閥」の影響力は無視できないだろうが、いいくに会の動向が総裁選のキャスティングボートを握る可能性は低くないのである。
(田村建光)