韓国の脱北団体によるビラやK-POPの動画などを収めたUSBメモリ散布への報復措置として、5月末日から韓国に向けて「汚物風船」を飛ばした北朝鮮。6月2日にはいったん中断したが、「体制を批判するビラを飛ばせば100倍のゴミを送る」と警告。その後、脱北者団体による風船ビラ攻撃が続いたことで、8日～9日にかけ、再び300個以上の汚物風船を飛ばしましたことが明らかになった。
「今回もソウルなど広い範囲で風船が確認されているようです。韓国軍の発表によれば、中身は人間の糞尿ではなく、家畜のフンや紙くず、吸い殻、さらには使い古された電気製品の部品や使用済み電池などどのゴミだといいます」（北朝鮮に詳しいジャーナリスト）
一方、韓国政府は、北朝鮮からのこの度重なる「汚物風船」に対し、ついに軍事境界線付近での大音量のスピーカーによる、いわゆる「宣伝放送」の実施を発表。この大型拡声器による放送が、軍事衝突を起こす引き金となる危険性を孕んでいるという。
「拡声器放送の狙いは、北朝鮮側に向け昼夜問わず大音量でK-POPなどをガンガン流し、さらに『韓国はこれだけ文化的に進んでいるんだぞ』と宣伝することで前線の北朝鮮兵士らに心理的負担を与え、士気を低下させること。韓国では過去に数回、この拡声器放送を実施しており、2015年は北朝鮮が仕掛けた地雷により、2名の韓国将兵が負傷する事件を機に、韓国軍がその報復措置として30カ所に大型拡声器を設置。拡声器放送再開に踏み切った。これに北朝鮮が怒り狂い、7発の砲弾を韓国側に向け打ち込み、韓国側も反撃。軍事境界線付近で両軍による衝突が勃発しました」（同）
当時、韓国は朴槿恵大統領の時代で、さっそく軍部による非常拡大会議が招集され、大統領命により戦闘があった西部戦線をはじめ、全前線で最高レベルの警戒態勢が敷かれたという。
「ただ、この時期には話し合いが持てる環境にあったため、南北の間で4日間にわたる協議が行われ、なんとか本格的な軍事衝突は回避できた。しかし、完全に敵国となった今回とその時とでは状況が違い過ぎますからね。韓国の拡声器放送で北朝鮮がどう出てくるかは全く予想できず、その内容によっては、軍事衝突が勃発する可能性も否定できないとうことです」（同）
小競り合いが大事にならないことを願うばかりだ。
（灯倫太郎）
