唐揚げ消費量は右肩上がりでも「唐揚げ店倒産」は前年比9倍という謎のカラクリ

 帝国データバンクは5月8日、「唐揚げ店」の倒産動向を発表。2023年の唐揚げ店の倒産は前年比9倍に急増して、過去最多を更新したことが明らかとなった。唐揚げの消費量は右肩上がりであるにも関わらず、なぜ唐揚げ専門店は次々と姿を消しているのだろうか?

「倒産動向によれば、昨年の唐揚げ店経営業者の倒産は27件発生し、これまで最多だった21年の6件を大幅に上回って過去最多を更新しています。なお、倒産したのはオリジナルブランドの唐揚げ店や大手唐揚げチェーンのフランチャイズ、サブビジネスとして新規参入した事業者など様々で、水面下の閉店や廃業を含めればさらに多くの唐揚げ店が市場から消えたと分析しています」(フードライター)

 昨年来、唐揚げブームの終焉というニュースを目にするようになっていたが、その一方でこんなデータもある。ニチレイフーズが昨年10月に発表した「全国から揚げ調査2023」によると、好きなおかずランキングで唐揚げが4年連続1位になったという。さらに、23年の唐揚げ年間消費量は405億個と推計され、コロナ禍前の19年の250億個から比べても大幅に増加しているのである。つまりは、唐揚げの消費量自体は増えているのに唐揚げ専門店ばかりが倒産していることになる。

「これは過熱したブームの負の側面が出た感じですね。特に唐揚げ専門店はテイクアウトがメインだったので店舗面積も小さくて済み、フライヤーさえあれば設備もほとんど必要ないことから参入障壁が低く、これまで飲食業に携わってこなかった人の新規参入も多かったわけです。言ってしまえば誰でも唐揚げ店をオープンできたわけですが、たかが唐揚げとはいえ、やはり素人が即席で作ったものではリピーターはつきません。しかも、円安などにより安価だった輸入鶏肉や食用油が高騰して、不安定な経営にダメを押しました。今はおにぎり専門店がブームになり全国に店舗を増やしていますが、こちらも唐揚げ店と同じ道をたどっているように見えます」(経済ジャーナリスト)

 来年の今頃にはおにぎり専門店の倒産急増がニュースになっているのかもしれない。

(小林洋三)

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