日本には現在、1万2000以上の動物病院があるが、いざという時の動物病院選びは、ペットだけでなく飼い主にとっても最重要課題と言っていいだろう。
多くの動物病院はホームページを持っており、事前情報がない場合はHP内のコンテンツだけで病院の良し悪しを判断することになる。とはいえ、それだけではリアルな診療現場をうかがい知ることはできないだろう。やはり、「口コミ」が重要だと、現役の獣医師が言う。
「HP内にも口コミはありますが、礼賛だけのような内容ばかりだったりしてちょっとした不満などニュアンスが伝わりにくい。正確な情報を集めるには実際に診察を受けたことがある飼い主に聞くのが確実でしょう。例えばドッグランなどを利用する際に、他の飼い主にさりげなく聞いてみると率直な意見を聞くことができるはずです」
「主治医」を持つことも重要になる。何でも気軽に相談できる医師がいると、ともかく安心できるからだ。その一方で、常に同じ先生に診てもらえる個人の獣医か、様々なスキルを持った獣医が集まるグループ病院であるかということも大きな選択要素となる。さらに、ペットに持病があったり高齢だと、一般のペットホテルでは預かってくれないこともあるため、病院併設のペットホテルが必要になる。
加えて、ペットのことを、病状だけでなく普段の様子まで細かく聞いてくれる獣医師を選ぶべきだという。ペットショップ経営者も言う。
「治療法にしても、一方的に治療方針を決めてしまうのではなく、メリットとデメリットをはっきり説明して選択肢を提示し、一緒に選んでくれるような医師をお勧めします。ペットの命を預けるわけですから、結局、人間を診る医師を見極めるのと同じような視点で選ぶことになりますね。あと、病院内を見回して、受付や看護師がいきいきと仕事をしているか、というのもポイントになります」
当たり前のようだが、自宅から通いやすいところにあるか、という点も見逃せない。何かあったときにすぐに診てもらえるからだ。
飼い主にとっては大切な家族を任せる相手だけに、間違いのない獣医師と病院を選びたいものだ。
(蓮見茂)