2月5日に福岡県の私立柳川高校で「ラーメン祭り」を開催した人気ラーメンチェーンの「一風堂」。しかも一度きりのイベントではなく、2月下旬からは人気メニュー「白丸元味」が学食の正式メニューとして登場する予定だという。
現在、同社は日本だけでなく海外15の国と地域で店舗を展開。ANAの機内食にも植物性由来のとんこつラーメン「プラントベースラーメン~プラとん」を提供しているが、学食への参入は今回が初めて。
きっかけは、昨年テレビ番組で柳川高校が紹介された際、留学生がインタビューで語った「ラーメンが学食にないのはさびしい」の一言で、これを知った一風堂ホールディングスの河原成美会長の意向により提供が持ち掛けられたという。
ちなみに一風堂のような有名ラーメン店が学食に参入するのは異例のこと。ただし、同社のように学食業界に外食チェーンが今後参入する可能性は大いにあるという。
「提供価格が安価な学食は薄利多売の厳しい経営を強いられ、昨年は広島の県立高校の学食が突然営業中止になったことが話題になりました。でも、多店舗展開でセントラルキッチや独自の仕入れルートを持つ外食チェーンはコストダウンしやすいとの利点もあります。つまり、学食ビジネスへの適正があるわけです」(飲食業界専門誌編集者)
また、参入となれば今回のように多くのメディアが取り上げることになり、企業イメージのアップなどの宣伝効果は計り知れない。
「実際、今回の一風堂のニュースが出る前からいくつかの外食チェーンの担当者から学食ビジネスに関心を持っているという話は聞いています。店と同レベルのクオリティで提供するのは難しく、その辺の折り合いなど課題は多いですが、一風堂だって参入できたので不可能ではないはずです」(前出・専門誌記者)
近い将来、学食に舞台を移した熾烈な外食チェーン戦争が繰り広げられるかもしれない。