その一挙手一投足が報じられるたびに、世界から失笑が起こってしまう…そんな現職と前大統領の2人を、米国民はどんな気持ちで見つめているのか。
御年81歳のジョー・バイデン大統領が、米司法省の特別検察官から「記憶力が著しく限られている」との指摘を受けたとして、怒りの記者会見を開いたのは2月8日のことだった。バイデン氏は自宅から副大統領時代の機密文書が見つかったことで、司法省の調査を受けていたのだが、同省のハー特別検察官は、訴追しても陪審員が「記憶力の著しく悪くなった老人」と判断し、責任能力に疑義を示す可能性があることから、訴追しないことを決定する報告書を発表した。ところが、この報告書にブチギレしたのが当のバイデン氏だった。
「ハー特別検察官は昨年10月の聴取の際、バイデン氏が、『私が副大統領を終えたのはいつだったかな』と聞いてみたり、脳腫瘍で死去した長男・ボー氏の死亡時期が思い出せなかったことで、『記憶力が著しく限られている』と判断したようです。しかし、バイデン氏は会見で、『よくもそんなことを言い出したものだ。(ボー氏の死亡時期を言わなかったのは)質問された時、お前らの知ったことかと内心で思ったからだ。(ボー氏が)いつ亡くなったのか、誰かに思い出させてもらう必要などまったくない』と猛反論したのです」(国際部記者)
だが、そんなバイデン氏はまたもやらかした。会見中にパレスチナ自治区ガザ地区の最新情勢についてコメントを求められた同氏は、なんとメキシコとエジプトの大統領を混同してしまったようなのだ。
「バイデン氏は『メキシコのシシ大統領は当初、人道物資を(ガザ地区に)搬入するためのゲートを開けたがらなかった。私は彼と話をした。私が彼を説得した』と自慢げに話したのですが、シシ氏はエジプトの大統領。会見の最後まで間違いに気付かず、記者団から失笑を買うことになってしまいました」(前出・記者)
一方、バイデン氏の宿敵、トランプ氏もそのお騒がせぶりは相変わらずで、最近は特に「外見の異様な変貌ぶり」がSNS上を賑わせてる。前出の記者が続ける。
「トランプ氏のトレードマークといえば、あの『作り込まれた髪型』。ところが、最近の映像では、薄くなった頭皮が露わになって、髪の生え際が耳の色とは完全に異なり、明らかに不自然に黒ずんでいるように見えます。そんなことから、SNS上ではトランプ氏が雇ったのは、メイクアップアーティストではなく『(エンバーミングをする)葬儀屋なんじゃないか』と揶揄する声があがっていますね」
さらに極めつきとなったのが、昨年12月に共和党のアダム・キンジンガー下院議員が《彼の周りにいる人々がその匂いについて話題にしてこなかったのは、本当に驚き。できればマスクをするべきだ》、とXに投稿した、トランプ氏の「匂い」を巡る論争だ。同氏はニュースサイト「メディアズタッチ・ネットワーク」でも、トランプ氏の匂いは「脇の下とケチャップ、ヒップとメイクアップを全部ミキサーに入れて、それを香水として瓶に入れたようなもの」とこき下ろした。
これに対しトランプ氏の広報担当者は、英インディペンデント紙に「キンジンガーはテレビの生放送中におならをした。彼は失業中の詐欺師だ」とコメントするなど、もはや政策論争そっちのけの言い争いがヒートアップしている。そんなこともあり、米メディアは連日、「認知症vsペテン師」等々のタイトルで、この舌戦を報じているほどなのだ。
ユーモアやウイットに富んだ批判やその切り返しは討論時のエッセンスとも言える。だが、露骨で口汚いやり取りに終始する2人には、いささかうんざりしている米国民も少なくないに違いない。
(灯倫太郎)