昨年末の紅白歌合戦にも出演した人気アーティストの「あいみょん」が2月18日、初の日本武道館公演を成功させた。ギター1本での弾き語りスタイルで満員の観客を魅了し、ラストは代表曲の「君はロックを聴かない」を会場中で大合唱。最後は苦楽を共にしたマネージャーとステージ上でぎゅっと抱き合い、アンコールなしで終わるという異例のステージとなった。
あいみょんの武道館ではアリーナの中央にセンターステージを設置し、360度から鑑賞するというこれまた異例のスタイルを採用。最初は南向きだったステージが途中で北向きに180度回転するなど、全方向のファンに向けて歌を届けることとなった。
「最近の武道館コンサートではステージが大型化しており、東西南北に広がるスタンド席のひとつをつぶすのが当たり前。さらにサイド側も半分近くつぶすことがあり、客席数が7000席程度に設定されることも珍しくありません。それに対してあいみょんの武道館ではスタンド席をすべて使えたことで、1万4000人ものファンを集めることができました。しかもチケットはソッカン(即日完売)でしたから、人気の凄まじさが伝わりますね」(音楽ライター)
そんなあいみょん武道館公演のチケット代は5940円とお安め。武道館でのコンサートでは設営コストや警備費がかさむことからチケット代が高止まりし、7000~8000円台が当たり前となっている。3月2日に行われるお笑いコンビ・オードリーの10周年記念ツアーでは7200円だが、そういったチケット代の裏事情について音楽ライターが続ける。
「あいみょんに限らず初武道館のアーティストにはチケット代を安めにする傾向があり、16年のゲスの極み乙女。では5800円でした。また活動歴の長い中堅バンドが集大成として武道館に挑むような場合は、集客を確実にするために、あえて安めにすることもあります。オードリーについてはステージにラジオ放送ブースを再現するなど、制作コストはそれなりにかかっているはず。とはいえ大型コンサートに比べると照明などのコストがかからないので、7200円に抑えられたのでしょう」
そんな武道館ライブでは、必ずしもコンサートの収支が黒字になるとは限らないという。まさか赤字覚悟でコンサートを開くというのだろうか。
「いわゆる外タレを呼ぶ場合はライブにスポンサーがついており、そのスポンサー料で帳尻を合わせることが多いですね。また人気アーティストではセットがどんどん豪華になり、制作費がふくれあがってコンサート単体では赤字になることも。ただ武道館コンサートでは当日限定のグッズが作られ、MD(マーチャンダイズ=物販)の売上が億単位になることも珍しくなく、トータルでは黒字になるというわけです」(前出・音楽ライター)
ちなみにあいみょんの武道館でも当日限定Tシャツが販売されていたものの、本人はライブ中に着用しなかったという。そんな姿もまた、彼女らしいのかもしれない。