幸楽苑がラーメンメニューを一部値下げ、利用者は歓迎もさらに際立つ「1000円の壁」

 ラーメンチェーン「幸楽苑」は10月12日からグランドメニューを変更して、一部商品を値下げした。10月も4000品目以上の食料品が値上げされるなど値上げラッシュが続く中での突然の値下げに利用者からは歓喜の声が上がっているが、この値下げでラーメン業界に立ちはだかる「1000円の壁」がまた高くなったと指摘する意見もある。

「新グランドメニューでは、全てのラーメンで餃子やチャーハンなどとお得に組み合わせできるように見直したといい、11商品で20〜70円の値下げが行われました。『みそバターコーンらーめん』『しおバターコーンらーめん』は税込(以下同)760円から690円に70円値下げされ、『プレミアム醤油』『プレミアム味噌』『プレミアム塩』は830円から760円に70円値下げされています。ラーメン以外のメニューでは、『単品チャーシュー』『千切りネギ』『メンマ』『ソフトドリンク(アップル・コーラ・メロンソーダ)』が20〜30円値下げされ、『らーめん屋さんカレー』のみ360円から370円へ10円値上げされました」(情報誌記者)

 ネット上ではこの値下げを歓迎する声が多く見られるが、ラーメン業界にとっては必ずしも好影響ばかりではないという。2023年1〜8月のラーメン店の倒産は28件となり、前年同期の3.5倍と大幅に増えており、年間では過去最多を更新する可能性があると東京商工リサーチが9月に発表している。倒産が急増している原因は材料費の高騰が挙げられ、ラーメン価格が1杯1000円を超えると客足が遠のくとされる「1000円の壁」があることから、材料費高騰と1000円の壁の板挟みにあい苦しんでいるラーメン店も少なくない。

「多くのラーメン店が値上げしなければ倒産がチラつく中で、やっぱりラーメンは安く食べられるのが良いよねとなってしまうと、なかなか1000円の壁を打破しづらい状況にはなってしまいますよね。もちろん幸楽苑が、物価高が続く中で値下げを行ったのは素晴らしい企業努力だと思います。ただ、今回の値下げで幸楽苑のラーメンはすべて800円以下となったので、どうしても1000円以上のラーメンは高く感じるようになってしまうかもしれません」(ラーメンジャーナリスト)

 これ以上、ラーメン店の倒産が増えなければいいが…。

(小林洋三)

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