告発!15億円所得隠し「口利き疑惑」に浮上した大物政治家の名前(2)「バラまくのは任せとって」

 西谷氏が続ける。

「B会長は3、4年前にXと出会い、当時から政界の裏に通じた脱税のスペシャリストだと信じ切っています。すでに3月〜4月頃に手渡しの現金2700万円を含む、合計5700万円を支払っています」

 再び、音声データに戻ろう。Xからは他にも、

「うちはちゃんと申告して請求書も全部やるから、バラまくのはこっちに任せとってください」

 と、「贈賄」をほのめかす発言が出たかと思えば、日韓の外交問題を持ち出し、麻生副総裁との強い関係をB会長にアピールするシーンも。不正の発覚を恐れる旨を強調し、

「迷惑かけられへん、絶対に。全部絡んでくるから。先週かな、岸田(総理)が行って(※3月16日の日韓首脳会談。実際は尹錫悦大統領が訪日)、そのあとウチの麻生が土、日(※3月18日、19日)に行って、全部やったんや」

 何とも胡散臭く、普通に考えればXが仕掛けた詐欺ではないかと思うのだが‥‥。話を聞いた永田町関係者は語る。

「麻生さんが数千万円の金でそんなことにまで首を突っ込むというのは、正直リアリティがない。ただ、財務・金融担当相としての在任期間が戦後最長で、現在の鈴木俊一財務大臣とは義理の兄弟の関係にある。やるかどうかは別として、省内ないし各国税局への影響力はいまだに絶大ではあります」

 だからこそXは、麻生副総裁の威光を拝借しようとしたのか。アサ芸は真相究明のため、A社とXには、不正行為の事実確認を、麻生事務所には、金銭の授受の有無、そしてXとの関係を問う質問状を送付した。

 まずA社から、編集部に直接電話で、「事実無根である」との回答があった。続いては、麻生太郎事務所。こちらも電話での回答があり、担当者がきっぱりと全面否定。要約すると、

「Xは麻生の支援者の1人で、確かに事務所の人間はXを知っている。しかし金銭授受の事実は皆無で、Xが主張するように、麻生と昵懇である、というのも真っ赤なウソ。単なる支援者で、会話をしたことすらない、というレベルでしかない。質問内容が事実であるなら、勝手に名前を使用したとしか考えられない」

 とのことだった。なお、期日までにXからの回答はなかった。弁護士法人ATBの藤吉修崇弁護士が語る。

「個人的には政治家からの指示を受けて国税局や税務署が一企業に手心を加えるとは思えませんが、このケースでは当該政治家に渡すつもりがないのに金銭を受け取っていれば、欺罔(ぎもう)行為にあたり、詐欺罪が適用される可能性があります。ただし、人を騙す意図があったかどうか、内心を立証するのは容易なことではありません。欺罔行為を証明するには、その人物と政治家に接点があったかどうか、また、受け取ったとされる金銭がどこに渡ったのか、総合的かつ客観的に証拠立てる必要があると考えられます」

 告発者である西谷氏は、この結果をどう見るのか。

「Xが約束した追徴金の減額は、7月末現在でまったく形になっていないどころか、関連会社の一方には、税務署からの督促が来ているそうです。Xを盲目的に信じるB会長は、早く目を覚ましてほしいですよ」

 大物政治家を巻き込んだ騒動の顛末やいかに。

*週刊アサヒ芸能8月10日号掲載

ライフ