球技などの多くのスポーツで導入されている選手の背番号。だが、仮に選手が望んだとしても無条件に好きな番号を付けられるわけではない。例えば、プロ野球界ではチームに多大な功績を残した選手の背番号が永久欠番に指定されている。MLBでは黒人初のメジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンの「42」などは、全球団で永久欠番となっている。
サッカー界にも永久欠番はあり、22-23シーズンのイタリア・セリエAで優勝したナポリではエースナンバーの「10」がその対象。ちなみにこれは84年から91年まで所属し、クラブにリーグ初優勝など最初の黄金期をもたらしたマラドーナの偉業を讃えたものだ。
ただし、これとはまったく違う理由で欠番になるケースも。6月27日、イタリアサッカー連盟は下部リーグも含めて背番号「88」の使用禁止に合意したと発表。これは反ユダヤ主義撲滅への取り組みの一環で、イタリア政府からの要請を受けてのものだ。
「8はアルファベットで8番目の『H』を指し、第二次大戦中のナチスドイツの指導者ヒトラーを称える『ハイル・ヒトラー(HEIL HITLER)』の隠語になっているためです」(国際部記者)
昨シーズンのセリエAでトマ・バシッチ(ラツィオ)、マリオ・パサリッチ(アタランタ)の2名が着用。彼らにそうした意図はないようだが、クラブ残留なら今シーズンは違う番号が用意される予定だ。
一方、スポーツ界以外に目を向けると、墜落した航空機の便名、鉄道業界でも重大な事故を起こした列車番号は欠番になるのが一般的。さらに車のナンバーにも欠番が存在する。理由について自動車専門誌の編集者は次のように語る。
「日本では下2ケタが『42』と『49』は縁起が悪いとして割り振られていませんでした。現在は希望ナンバー制度により申請すれば付けることが可能ですが、数字の前にあるひらがなは『お・し・へ・ん』が他の字と見分けにくいとの理由から欠番扱いになっています」(自動車専門誌編集者)
普段は気にも留めない数字だが、さまざまな理由で欠番になっているものは案外多いのかも。